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『白ゆりの君の親衛隊なら、僕も入隊しようかな』

突然、会議室に設置された大型テレビの電源が入り、なぜか平木が映し出された。そして同時に発せられた平木の台詞に、室内の騒めきが大きくなる。
すると今度は、校内放送用のスピーカーから騒がしい声が聞こえて来た。

『はーい』
『こらっ! 勝手に……』
『ちょっと黙っとけ』
『わっ、大丈夫……だよね。えー、コホン、僕、一年の橋本も藤沢君の親衛隊に入りまーす。藤沢君は、いつでも友達のために頑張る人なので、み、水島君と一緒に藤沢君を応援したいです!』
『俺も』

「告白?」
「俺もって、お前は誰だよ」
「これはどう言うことですか? なぜここでの話題を彼らが知っているのです?」

訝しそうにしながら、森崎が言った。

『それは僕が説明しよう』
「平木、お前の仕業なのか?」

河峰が、眉間の皺をますます深くする。

『会議室でのやり取りは、各教室にあるテレビで放映させていただいたよ。会長補佐が誰なのか判明するかもしれないと、そんな僕の予感は当たったようだね。校内中が気になっている話題だ、公表する手間も省けるし、いいんじゃないかな』
「ふざけんな! そんなことして、ただじゃすまないぞ」
『松平君、駄目だよ。公明正大を謳うなら、見える会議室も大切だ。隠したいと思うのは、疾しいことがあるのではないかと勘ぐってしまうよ』
「詭弁だろうが」
『なら、君は藤沢君の親衛隊結成には反対だと?』
「それとこれとは別だろーが! 藤沢の親衛隊ならいいんじゃねえのか?」
「えっ」

松平までそんなことを言うのかと、思わず拓海は声を出してしまった。松平を見ると、彼は頷きながら拓海に笑顔を見せた。

「入学して間もないと言うのに、友人からの信頼も厚いんだな。風紀も親衛隊結成の許可を出してくれそうだし、それに、平木が味方にいるなら、ますます会長補佐になってもらいたいと思うんだが」
「……仕方ないですね。会長が仕事に穴を開けることは有り得ないですが、今まで以上に負担は増えます。副会長も自分の仕事で手一杯なようですから、いいのではないですか?」
「えっ、ちょ、」

森崎までもが頷いてしまった。彼に許可を出されても、後々何かされそうで怖い気もする。

「拓海……」
「遥都」

遥都が拓海の手を握った。
拓海が思わず縋ってしまいそうになったところへ、悠真が口を開いた。

「君にしか出来ないこと、なんだ」

それを聞いて拓海ははっとする。
悠真に約束していた。手伝えることがあれば、拓海はどんなことでもしようと思っていたのだ。

会議室の雰囲気に気圧されてしまい、拒否したいとしか考えられなかったけれど、悠真がこうして困っているのなら、拓海は会長補佐をやるべきなのだろう。
忙しいのに、悠真は一晩中拓海の傍にいてくれた。そんな悠真の為になるのなら、少々虐められようが頑張ろうと思う。

「俺、会長補佐やります」

そう言った時に見せた悠真の綺麗な笑顔を拓海は絶対に忘れないだろう。


Continued.

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