それが変わり始めたのは最近になってからだ。
今までどちらかと言うと、遥都の方から拓海との約束を取り付けてくる事が多かった。それなのに、その約束をキャンセルされてしまうことが増え始め、ようやく会えても途中で学園に帰ってしまう。
そんな事が続き、ついに先日、遥都から冬休みは学園にずっといるので会えないと、電話で告げられてしまったのだった。

好きな人が出来たのなら、はっきり言って欲しいと拓海は思っている。ただでさえ中途半端な関係なのに、更にややこしい思いはしたくなかった。
だから、学園に遥都の様子を見に行こうと思い立ち、その結果、こうして初対面の相手の胸で泣くはめになっている。

「泣きすぎました」
「まあ、そうだな」

美男子に経緯を話してしまうと、拓海自身も落ち着いてきた。

「さっき、遥都が『かずは』って呼んでるのを聞いたんです」
「……和葉、山岸和葉だ」
「あの二人は、寄り、戻したんですか?」
「寄りを戻すも何も、二人が付き合っている事実は、過去にも今にもないはずだぞ」
「ええ? だってさっき二人は有名だって言ってましたよね」
「まあ、普段からイチャイチャしてるからな。付き合う寸前とでも思われてるんだろう。だが、山岸和葉は他に本命がいると……」
「ハア!? ふざけてるんですか!」

拓海は思わず目の前にあったネクタイを掴む。

「おい、俺に噛み付くな」
「すみません。でもそれって二股じゃないですか! 許せませんよ」
「落ち着けよ。お前だって結局二股かけられてるようなもんじゃないか」

拓海に掴まれていたネクタイを直しながら、うそぶくように言う美男子を恨めしげに睨む。
いくら顔が良くても、デリカシーがないのはいただけない。

「俺と遥都はそんなんじゃないです」
「ふん、清く美しく甘ったれた関係だな。そんな甘ちゃんな関係はお互いに良くないと分かっただろう。あんな優柔不断な男は放っておけばいい」

確かに、彼の言う事には一理ある。
振られた遥都を慰めたくて側にいたのだから、その原因がどうにかなってしまったら、慰めると言う前提はいらなくなったのだ。
だから、遥都も慰める役は必要なくなって、拓海から離れて行こうとしているのだろう。

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