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「ファンというのは、親衛隊とは違うんですか?」
「そうです。会長親衛隊は恐ろしい程に体制がとれています。他の生徒を攻撃することなどはあり得ませんが、会長のファンたちは違います。彼らは組織化されていて、中には攻撃的な考えを持つ方もいます。ターゲットにされてしまえば危険でしょう」
「そんな……」

倉林はそういったグループを間接的に利用しようとしていたのだ。
卑怯な手段を使う倉林が許せないし、蓮と悠真の関係をはっきり示さないと、今後もどんなことをされるのかと心配になる。

「どうして篠宮君だったのか、常磐に調べてもらおう。それから対策を考えればいいよ」
「でも……」

不安になっている拓海の肩に手を乗せながら、遥都が提案する。拓海は蓮の問題に、常磐の手を借りても大丈夫なのだろうかが気になった。

「私は構いません」
「ね、拓海の友達なんだから、僕たちは惜しまず協力するよ」

拓海は、笑顔で肩を抱き寄せてくる遥都を見上げる。
小学校の時、片親だからという理由で仲間外れにされていた拓海だったが、遥都はそんなことも何も気にせず友達になってくれた。
そんな遥都だからこそ、蓮とは関わるなとは言わずに手を差し伸べてくれるのだろう。
改めて遥都の優しさに触れて、拓海は破顔した。

「ありがとう、遥都。常磐先輩、俺にも出来ることがあれば言ってください」
「そうやって笑っていてくだされば、それだけでいいです。先ずこちらでやることがありますので、それから木崎さんにご相談に伺います。では、私はこれで失礼いたしますね」

そう言うと常磐は立ち上がり、遥都に一礼すると拓海に微笑んだ。
見送ろうとして拓海が立ち上がりかけると、遥都の腕が絡まって引き留められてしまう。そうしている間に常磐は帰ってしまった。

「遥都、後でよろしくお願いしますって伝えておいてくれよ」
「うん、わかってる。やっと二人で話せるんだから、拓海もゆっくり座ってなよ」
「今日は遥都も時間があるんだ。生徒会は本当に忙しそうだね」
「うん。楯突いた人たちに魔王様が倍返ししてるところだからね」
「魔王様って、もしかして生徒会長のこと?」
「そうだよ。それが分かるってことは、生徒会のゴタゴタも知ってる?」
「うん、少しね。でも遥都は仕事を放り出したりなんてしてないよね?」
「仕事はしてたよ。一応生徒の代表だし、何気にやり甲斐もあるからね。でも、自分の仕事しかしてなかったからなぁ。だからとばっちりを受けてるところ」
「そっか。遥都は生徒会が好きなんだね」
「わかる?」

微笑んだ遥都が、拓海の腰に抱き付いた。
普段からスキンシップが好きな遥都だが、何かあったりした時はこうして拓海に縋るように抱き付いてくることがある。

亜麻色の綺麗な髪に、拓海はそっと触れた。

「ねえ、拓海」
「なに?」
「和葉のことも聞いてるよね」
「うん」
「僕が、まだ和葉が好きだって思ってる?」
「……うん」
「それ、違うんだ」
「違うって?」
「和葉のことは、もう何とも思ってないよ。だから、今は拓海とこんなふうに過ごしてるだけでいい」

遥都の髪に触れていた手が止まる。
突然の遥都の告白に、拓海は何も言うことができなかった。

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