「それでですね、藤沢君」
「はい」
「入学したばかりのあなたに、この話をしたのには理由があるんです」
「え、そうなんですか?」

そう言われて戸惑ってしまう。
考えてみれば、確かにああいった話は外部からの入学生に話すようなものではない。常磐の意図がわからず、不安になりながら拓海は彼を見た。

「先ほどの話で、ファンや親衛隊の怖さが分かっていただけたと思います」
「はい、何となくわかります」
「それで、木崎さんと藤沢君の関係なんですが」
「あっ、もしかして幼なじみって不味いですか? 遥都に迷惑かけるようなら内緒にします」
「いいえ、そうではなくて、木崎さんはあなたと幼なじみであることを公表するつもりです」

幼なじみを公表とは不思議な言い回しだが、この学園なら仕方ないのかもしれない。
そんな学園で、王子様な遥都と幼なじみだと宣言してしまっても、本当に大丈夫なのだろうか。

「木崎さんは、藤沢君に危険が及ぶのを心配しています」
「危険て、ファンの暴走とか、ですか?」

それなら、余計に拓海と遥都との関係は言わない方がいいような気がするのだが、何か特別な理由があるのだろうか。

「藤沢君は、山岸さんに何となく似ているようですね」
「は、ええ? 俺、あんなにキラキラしていませんよ」

それに、失恋した相手が好きになった人に似ているのは、気持ち的にも複雑だ。
しかし拓海が否定しても、常磐は「自分では自分自身の事は案外わからないものです」と首を振られてしまった。

「もちろん、藤沢君には藤沢君の良さがあります。はじめは興味本位であなたに近づいても、そうではなくなる可能性があるんです」
「……はあ」

気の抜けた相づちをしてしまう。物凄く杞憂な話だと思えるからだ。
和葉とは似ていない自信はあるが、万が一それで興味を持たれても、結局は和葉本人ではないのだから、そんなに興味は続かないだろう。

「木崎さんは学園でも藤沢君とかかわり合いたいと話していました。我々は、木崎さんの希望を叶えてあげたいと考えています」
「……ん? 我々?」
「はい。我々、つまり木崎遥都親衛隊です」
「えっ、親衛隊!?」

拓海は思わず後退ってしまう。
親衛隊は怖い存在だと、当の本人から説明を受けたばかりだ。

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