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◇◇◇


次に向かう場所を確認するために、拓海は手元のリストに目を落とした。

「えっ、『新世界からの誘(いざな)い』……?」

一瞬、新興宗教か何かかと思ったが、どうやら同好会の名称らしい。
場所はパソコンルームとなっているから、パソコンを扱う人達の集まりなのかもしれない。
脳裏に“中二病”の文字が過りながらも、拓海は地図で場所を調べた。




学園内には、パソコンルームが三ヶ所もある。そのうちの一つの教室にたどり着いた。

「生徒会です。失礼します」

ノックして少し待ってみたが、何の返事もなかったため、勝手にドアを開ける。そして、そのまま動きを止めた。

薄暗い教室の中には、黒い頭巾をすっぽり被り、黒い布を纏った全身真っ黒な生徒達がいた。
車座になっていた真っ黒な人達が、拓海がドアを開けた瞬間に、驚いたように体を浮かせている。

「あ、あの、生徒会、ですが……」

気を取り直した拓海が声をかけると、真っ黒な人達は、一斉に手元のタブレットを弄りだした。一心不乱に、物凄い早さで指を動かしている。

邪魔をしてしまったようだと思い、拓海が出直そうとした時、真っ黒集団のうちの一人が立ち上がった。そのまま拓海の方へ歩いてくる。

向かって来る全身真っ黒が何だか怖くて、少し引き気味になっていた拓海に、黒い人がタブレットを見せてきた。
戸惑いながら見てみると、何か文章が書かれている。

『遂に、我々、暁の民の下へ降臨なさったか』

色々わからない。
話が進まないので、取り敢えずパソコンルームの使用届けを提出して欲しいことを伝えた。
すると、真っ黒集団は、再び無言でタブレットを弄り始める。

どうやら、会話はタブレットで進めて行くらしい。何かやり取りがあったのか、車座になっていた真っ黒集団が何度も頷き合ってから、拓海に再度タブレットを見せた。

『どうしてもそれが必要なのだろうか』
「はい。お願いします」

拓海が返事をすると、真っ黒集団はタブレットに向かう。

『乙女の願いなら致し方ない。我々の情報が必要ならば、此方に参られよ』

黒い人に促されて、拓海は真っ黒集団に近づいた。
車座の中心に行くように言われたが、さすがにそれは許して欲しい。

拓海が困りながら首を振ると、黒い頭巾の向こうで鼻息が荒くなってしまった。
怒らせてしまっただろうか。不安になる拓海に、新たな文章が提示された。

『仮の世の頂に立つ生徒会であっても、我々の情報は簡単に流出させられない。だが、白百合の乙女が使者だった事が幸いした』
「はぁ」

意味がわからず、拓海が曖昧な返事をしている間に、真っ黒集団が一斉に動きだした。
何となく囲まれてしまった感じがして、戸惑いながら真っ黒集団を見る。頭巾の隙間からギョロリと覗く目許しかわからない。
それが、余計に拓海の不安を掻き立てた。

『我々の情報を一つ記す度に、白百合の乙女、つまりあなたに一枚ずつ制服を脱いで貰おう』
「えっ!? 何で?」

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