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◇◇◇


三人は、抱えている秘密を守るために、これまでひっそりと過ごしてきた。
生徒会や風紀と関わらないために、彼らと接触する機会を持たずに済むように動いていたのだ。
しかし、なぜ。

出口へ向かう後ろ姿を、三人は黙ったまま見送った。

「……あれ書いて大丈夫だったんか?」

焦茶の生徒、八原がテーブルに肘をつきながら、億劫そうに言った。ドアに向かっていた視線を宇佐見に向ける。

「さっきの、会長補佐になったんだったよな。もしかして、わざと俺達に関わらせた……?」
「あの会長さんが、んなまだるっこしいことすっかよ」
「うーん、俺も宇佐見の言う通りだと思う。うちらのことに感付いててもね。てか、今回のことは想定外かもね」

そう言った秋庭が、にんまりとしながら宇佐見を見た。そんな秋庭に気付き、宇佐見は眉間に皺を寄せる。

「……んだよ」
「言われるとーりに書類書いちゃってねー。ガキには関わらないって言ってたのは、どこの誰だったかなー?」
「ああ? 今のは仕方ないだろ。不可抗力だ」
「そうなんだー?」

秋庭は、テーブルの上に置かれた、可愛らしいお茶菓子に手を伸ばした。
三人の中で唯一甘党な秋庭のために、派手な髪色をした、弟子と言う名の使いっぱしりが用意したものだ。

「それにしても、一人でフラフラしてるなんて、無用心だよねー」

無表情だった宇佐見の眉が、ぴくりと動く。
反対に、八原は気のない様子で秋庭に尋ねた。

「フラフラって、誰が?」
「だから、藤沢拓海だっつーの。あ、これ旨い」
「よく食うなそんなもん」
「美味しいのにー。人生損してるよ、八原君」

焼き菓子を頬張る秋庭を見ながら、八原がうんざりした表情を浮かべる。

「やっぱさ、ぽっと出の子がいきなり会長補佐になったんだから、それこそいっろーんな思惑が動くんじゃないの? 楽しそー。早速何かの思惑が働いてるのかなー?」
「へえ、会長ファンの奴らか? あいつらもほんとよくやるよな」
「あの子が迂濶なのか罠なのかどうなんだろうね。まーた変なのに襲われてボロ泣きするかなー。まっさらじゃなかったら、俺が泣かせたかったー、みたいな?」
「……あー、俺ヤニ切れだわ」

突然、前触れも無くそう言った宇佐見は、席を立ってそのままスタスタと歩きだした。
驚きながら宇佐見の行動を見守っていた二人は、その姿が見えなくなると、すぐ様お互いに顔を見合せた。

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