「常磐文弥と申します。この度は入学おめでとうございます。木崎さんから幼なじみだと伺っています」
「あ、はい。ありがとうございます。藤沢拓海です」
「歩きながらお話します。距離があるので、疲れたら言ってくださいね。この学園の事は、木崎さんからどの程度聞いていましたか?」
「えっと、特待生の制度のことと、遥都が生徒会の書記になったことと……」
「生徒同士での恋愛については?」
「あ、それも多少は……。偏見もないし、大丈夫です」

むしろ同士がいてくれて心強いくらいだ。
学園で出来た友人と、そのうち恋愛話をすることだって出来るかもしれない。今まで一人で悩むことが多かっただけに、そう思うと希望がふくらんでくる。

「この学園は人気のある生徒には、彼らを守る生徒が存在します。そういった話は聞きましたか?」
「……聞いたことないです」
「人気があると、周りから好意や嫉妬を受けたりしますが、この学園は何と言いますか、特殊なので、その好意や嫉妬が行き過ぎる傾向にあるようなんです」
「ええ? そうなんですか」

それを聞いて、遥都のことが心配になってしまった。
遥都は目立つし、モテないはずがない。今までそういった話は聞かなかったが、拓海に話さないだけで色々あったのだろうか。

「木崎さんも生徒達にとても人気がありますが、ちゃんと守る側の生徒も存在しますので、大丈夫ですよ」
「あの、守る生徒というのは?」
「この学園では親衛隊と呼ばれています。憧れたり、大切にしたいと思う人達を陰日向に支えています。中には暇潰しの方もいらっしゃいますが」
「へ、へえ……、なんか凄いですね」
「こう何もない所ですと、惚れた腫れたのお祭り騒ぎしか楽しみがないんでしょうね。そんな周りの人達に煽られて、余計に燃え上がってしまったり。去年の冬はそれはもう一大イベントでした」
「イベントですか?」
「はい。もう、あれはイベントだったんだと思います」

疲れたように常磐が言った。
彼の様子をみると、よっぽどの出来事だったとうかがえる。
去年の冬辺りと言えば、遥都の様子が気になり始めた頃だ。一体、何があったのだろう。

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