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倉林朋也は、軽薄そうな見た目に反して、恋愛においては一途だ。
だから、相手にも誠意を求める。倉林が好意を持つのは、健気で純粋そうな子達ばかりだった。

しかし、倉林の周りに集まってくるのは、彼の見た目とステータスにフラフラと吸い寄せられてくるような者ばかりだった。
いい加減うんざりしていた時に出会ったのが、山岸和葉だった。

『トモヤは、真面目で優しいんだね』

そう言われてコロリと好きになった。
和葉は自分の本当の姿を見てくれる。そう思ったら、嬉しくて本気で好きになってしまったのだ。

けれど、和葉が好きになったのは、中瀬悠真だった。
超絶色男のスーパー完璧野郎に倉林が適うはずもなく、呆気なく失恋が決定したが、何と和葉もあっさり振られてしまったのだった。

中瀬を物凄く怨んだ。
さらには、真面目に副会長の仕事に取り組んでいたものの、要領の悪い倉林は仕事をこなすのに時間がかかる。それを踏まえて、中瀬が仕事を割り振っていると薄々気が付いて、プライドを傷つけられた倉林は、和葉に逃げたのだった。
森崎達も生徒会室から遠ざかっていると知っていたが、見て見ぬフリをしていた。

だがそれも、結局長くは続かなかった。
スーパー完璧野郎の恐ろしい報復と、『お前達が必要だ』発言にうっかりときめいてしまったためである。
スーパー完璧野郎も、流石に疲労の色を隠せなかったようで、おかしな色気を溢れさせながらあんな台詞を言われてしまえば、うっかり間違った扉を開きそうにもなる。
タチである自分を死守するためにも、倉林は中瀬を疲れさせてはならないと決めたのだった。

それから、中瀬には許婚がいた事を思い出し、彼の立場を考えれば、こんな場所で同性の恋人など作れるはずもないのだと気付いた。

和葉の叶わない恋。
しかし、一途に直向きに中瀬を想う和葉にほだされて、大好きな和葉に幸せになってもらいたくて、倉林は裏であれやこれやと手を尽くしていた。
あの、彼が現れるまでは。



「まったく、思っていた以上に彼は使えませんでしたね」

苛立ったように森崎が言う。

今日は、森崎の自室で和葉を中心とするいつものメンバーで集まっていた。
和葉が大好きで、その権利がある選ばれた者達。
可愛らしくて、綺麗な和葉は学園中のアイドルだ。並み居るライバル達を蹴落として、選りすぐられたメンバーが集まっている。

だが、風紀委員長の河峰はいない。前々から集まりに参加することが少なかったが、近頃は殆んど姿を見せなくなってしまっていた。

三枝はいるし、風紀が多忙だと言う訳でもなさそうだ。河峰は、和葉を風紀に引き入れてしまうほど大切にしていたと思っていたのに、何か心境の変化でもあったのだろうか。
とにかく、ライバルであり、仲間でもあるメンバーが欠けてしまうのは寂しかった。

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[mokuji]

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