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拓海は、過去の議事録や行事運営のまとめなどを見せてもらった。
悠真の代になってから、省くところは省いていたり、ずいぶん改革されているようだ。それでも生徒達から好評なのは流石だと思える。
悠真をはじめ、このメンバーだからこそなのだろう。

そして、そのメンバーの中に加わってしまった拓海は、パソコンとにらめっこをしていた。

「──遅いですよ」
「うっ、……すみません」
「タッチタイピングが出来るようになってください」
「はい、わかりました」
「拓海は仕事が丁寧なんですよ。ミスするよりいいじゃないですか」
「モリリン、小舅みたーい」

森崎が、口を挟んだ遥都と倉林に目を向ける。きっとその視線は、身も凍ってしまうくらいに冷たいに違いない。

「いえ、確かに俺が遅いのは事実なので……、あれ?」

パソコンがうんともすんとも言わなくなってしまった。

「どうした?」

焦った声を上げると、それまで成り行きを見守っていた悠真が、拓海の背後に回って画面を覗き込む。
それから、拓海の肩にそっと手を乗せて、片手でマウスを操作した。

「フリーズしてるな」
「えっ!?」
「どうしたら今の作業でそんなことになるんですか?」
「ご、ごめんなさい」

隣から森崎の溜息が聞こえて、拓海は身も心も縮こまらせる。

「会長はご自分の仕事にお戻り下さい」

拓海には、どきなさいと視線で言われて、慌て席を立った。
悠真の手助けどころか、足を引っ張ることしか出来ていない。拓海は、物凄く自分が情けなかった。



「そろそろ休憩にしませんか?」

森崎に張りつかれながら、慣れないパソコン画面を見つめていた拓海が、そろそろ頭痛を感じ始めた時、補佐の桧山が明るい声で言った。

「チーズケーキを焼いて来たので、食べませんか?」
「わーい! ケーキ食べたい!!」
「では、お茶を淹れてきます」
「あ、手伝います!」

拓海は、立ち上がった桧山の後に続いて、給湯室に入った。
こじんまりとしているが、給湯室まで完備されていることが凄い。
桧山は、慣れた手つきでカップを用意していた。

「あの人達、飲み物にまで煩いんで、ついでに説明しちゃおう」
「宜しくお願いします」
「徐々にでいいよ。慣れるまでは誰でも失敗はあるからね」

明るい口調でニッコリと拓海に微笑む。
きっとこんな拓海を桧山は彼なりにフォローしてくれているのだろう。
だがそれは、余計に拓海を落ち込ませた。

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