とても澄んだ青空のもと、拓海は感慨深く背の高い門を見上げた。
グレーの重厚な校門の向こう側には、薄紅色の綺麗な桜が咲いている。

遥都や悠真が通うこの学園に、拓海も無事、合格する事ができた。
入試は区内の中学で行われたため、ここに来るのはあの日以来、二度目になる。
今日は遥都に呼ばれていて、新入生の集合時間より早めに学園に来ていた。


「──拓海!!」

校門を見上げていた拓海に、遠くから呼び掛ける声が聞こえてきた。
門の向こうから、遥都がこちらに向かって駆けてくるのが見える。
亜麻色の髪の長身は、離れた所からでもよくわかる、柔らかいノーブルな雰囲気を持っていた。

「遥都……」

拓海の合格祝いの時に遥都が会いに来てくれたが、あの時は周りに人もいたし、拓海も舞い上がっていたので、二人でゆっくり会うのは本当に久しぶりだった。元気そうな様子に安心しつつ、拓海は複雑な気分に陥った。

「遥都は幼なじみ。遥都は幼なじみ……」

動揺しないために、暗示をかけるようにつぶやく。
拓海なりに区切りをつけたつもりでいるけれど、まだ自信はなかった。

遥都が近づくにつれ、目の前で閉ざされていた門扉が、自動でゆっくりと左右に開いて行く。
その間から、日の光で照らされた髪と眩しい笑顔を見ると、単純な拓海は、やっぱり遥都に会えて良かったと思ってしまった。

「拓海、久しぶりだね」

目の前まで来た遥都は微笑むと、両腕を広げて拓海を抱きしめてくる。

「拓海、会いたかった」
「うん」
「外出禁止だなんて酷いよね。少ししか会えなかった」

不貞腐れたような声音で遥都が言った。
遥都から帰らないと言われた冬休み。それが明けると、今度は遥都が所属する生徒会の関連で、外出禁止令が出てしまったのだった。

「生徒会の仕事、大変だったんだ?」
「うん、まあね。拓海が来てくれたから、これからはもっと頑張れるかも。ご飯、また作って」
「何だ、ここに誘ったのは、それが目的だった?」
「それだけじゃないよ」

笑いながらゆっくりと遥都が離れていく。
久しぶりに近くで見る遥都は、甘い顔立ちを幾分精悍にさせていて、それだけ離れていた時間を感じて胸が痛んだ。

[ 1/26 ]


[mokuji]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -