「えーっと、仮とは言え親衛隊の前で生告白ですか?」
「委員長、ここがどこだかご存知ですよね?」

水島と津幡に言われて、河峰はようやく周囲から注目を浴びていた事に気付いたらしい。
困惑したような表情で、河峰が二人を見た。

「……何か不味かったのか?」
「藤沢を口説いてんのかと思ったんですけど」
「ご、誤解だ」
「わかりましたから。とにかく、みなさんの邪魔になるので、行きましょう」

先頭を歩き出した津幡を見てから、河峰は困ったように拓海に視線を移す。

「何だか、すまないな」
「俺は大丈夫ですけど」

そう答えながら、河峰が自分と噂になったら逆に申し訳ないと拓海は思っていた。


◇◇◇


放課後。
生徒会の顔見せの前に、副会長が話をしたいと言っていると遥都から連絡があった。
あの副会長が、一体どんな話をしたいのか少し不安でもある。だけど、拓海としてもわだかまりを残したまま一緒にしたくはないので、思い切って自分から蓮について聞いてみようと思っていた。

二人と会うまでには、まだ時間がある。その前に買い物を済ませておこうと、拓海は買い出しに出ていた。
その道すがら、自分を呼び止める声がかかる。そちらに視線を向けた拓海は、動きを止めた。

呼び止めたのは和葉だった。和葉の後ろには三枝もいて、拓海と話がしたいと告げてきた。
きっと会長補佐のことについてだろう。いつかは来るかもしれないと考えてはいたし、腹を括って和葉の話を聞くことにした。

寮内にある、サロンと呼ばれているお洒落な談話室。そこには飲み物や食べ物の自販機まで備え付けられている。
サロンには他の生徒達もいたが、先頭にいた三枝が入って行くと、みんな無言で出て行ってしまった。

座り心地の良い椅子に、和葉と向かい合って座る。三枝は和葉の隣に陣取っていた。
快適に過ごせるように工夫されている部屋らしいが、拓海は全く落ち着くことが出来ない。

「ちょっと藤沢君に聞きたいことがあったんだ」
「はあ、何でしょう」

拓海を見る、和葉の大きな目が悲しげに陰っている。まるで、拓海が虐めているようだと思いながら、和葉の言葉を待った。

「ユウマとは知り合いだったの?」
「えっと、生徒会長としてなら知っていました」
「本当か? 会長が見ず知らずの人間を自分の側に置くとは思えないがな」
「それは知りませんけど……。理由なら直接会長に聞いてみてください?」

三枝にじろりと睨まれて、拓海は口をつぐむ。実際は拓海の方が嘘を吐いている立場なので、物凄く居心地が悪い。

「ユウマの近くには行かないで」
「山岸先輩……」
「藤沢君にはハルトがいるでしょ? ハルトが藤沢君の側にいるのを許してあげたんだから」
「先輩、それってどう言う意味ですか?」
「ハルトが離れるのはすごく辛かったんだよ。僕からこれ以上取らないで欲しい。だから、ユウマから離れてくれる?」

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