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みのるとみのり、一字違いじゃねえかよ。

「ふざけんな」

起き上がった俺は、衝動のままベッドを殴った。俺の怒りの鉄拳は、ぼふんと柔らかい布団に吸収される。
飛鷹のヤロウ、高級羽毛布団に寝やがって!

ここは飛鷹の部屋らしい。
屋上に飛鷹がいたのは知っていた。泣いてる所だけじゃなく、うっかりそのまま寝たのもバッチリ知られている。
飛鷹が俺を運ぼうとしてるのに気付いたが、居たたまれずそのまま寝たフリをしていた。重い俺を頑張って運ばせて、お人好しな飛鷹に八つ当たりみたいな真似をしたんだ。

優しい手つきで俺の髪を撫でた飛鷹は、ここにはいない。
外は真っ暗だ。
あのまま、また眠ってしまったから、変な時間に目が覚めたんだろう。

寝室から出ると、飛鷹がソファーで寝てた。
丸くなって眠る飛鷹を見て罪悪感を感じつつ、ズレたタオルケットを直す。

間接照明にほんのり照らされた飛鷹は綺麗だった。
目を閉じていれば、やる気の無さそうなアホっぽい雰囲気が消えるからだろう。

「お返し」

癖の無い黒髪を撫でてから立ち上がった。

テーブルの上には、手紙と一緒に俵型のお握りが乗っている。俺宛てのミミズの這ったようなメッセージを見て、不覚にも泣き笑いしてしまった。

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