俺は屋上まで一気に駆け上った。
鉄壁の守りのない無防備な扉を開けると、やっぱりそこにミノルくんがいた。
涙をハラハラと流しているミノルくんを見て、俺は屋上へは出ずにそのまま扉を閉める。

泣いているミノルくんを凄く抱き締めたいと思う。でも、俺なんかが側に行った所で、何の役にも立たない。
せめて、今のうちに思う存分泣けるように、この扉を鉄壁にするくらいだ。
きっとこれからは、あの子は泣くのを我慢する。

しばらくして、ミノルくんを守り隊の奴らが来た。
邪魔だなって思ってたら、なんでかミノルくんの事をお願いされちゃったんで、喜んで承る。
守り隊が来たんなら、篤志のバカヤローにもミノルくんがここにいるってバレてるはずだ。あいつが来るのも時間の問題だろう。

……会わせたくないなー。
守り隊にミノルくんを託されちゃったのは俺だしなー。

ミノルくんに伝えようと思って、俺は静かに扉を開けて、様子を窺った。

「……寝てる?」

何で!?

目を閉じて、規則正しい呼吸をしているミノルくんは、確かに眠っていた。
俺は静かに近付いて、壁に凭れているミノルくんの顔を覗き込む。
頬には涙の跡。
もしかして、いろいろと悩んでて寝不足だったのかな。

「連れて行くよー。寝たままでいいからね」

ミノルくんをこんな所で寝かせたまんまにしてられない。


◇◇◇


ミノルくんを俺のベッドに寝かせた。
ミノルくんの部屋知らないし、仕方ない。うん。

「ゆっくり寝てなよ。守ってあげるからね」

守るなんて、ミノルくんは嫌がるだろうけど。
俺はさらさらの髪をひと撫でしてから、静かに寝室を出た。

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