でも、少なからずヤツから可愛がられていたような気もしてたから、俺に対する想いはなかったなんて事はない、と思いたい。

俺の髪を梳く指だとか、何気なく見せた優しさだとか。
そういうのを思い出していたら、俺がヤツに惹かれていった理由まで思い出した。
けれど、いつまでもこのままではいたくない。

隊長に言われた通りに話し合おうと思った時、俺は鴻江の幼なじみの存在を思い出した。


コロコロとキャンディを転がしながら、飛鷹が俺を見上げてくる。
俺の緊張が伝わったのか、話を聞いてくれるつもりになったらしい。目は眠そうなままだけどな。

「会長って、意外に一途だったんだな」
「んあー?」

可笑しな相づちを打ったヤツは、少し考える素振りを見せた。
俺はと言うと、無表情を保ちつつ、心臓は煩いくらいに早鐘を打っている。マジで爆発しそうだ。

「ミノルくん生徒会の補佐だったよな」
「ああ」
「一緒に仕事してるうちに、とか言うやつ?」
「ちげえよ余計な詮索すんな。答える気はないのかよ」

半分寝てるような顔をして、案外鋭いらしい。
そんなところは伊達に風紀の長は務めていないんだと思わせる。

「だったら、あいつはやめといた方がいいぞ」
「なんで?」
「片想いをいつまでも引きずってるような男だから面倒くせぇ。俺ならお断りだわ」
「は、だせぇ」

ダサいのは俺だ。
あの一年もただの幼なじみかもしれないって、情けなくも一縷の望みにかけてみたが、見事に玉砕した。
長い片思いなんて、相手はあの一年に違いない。

やっぱり鴻江との事は、すっぱりすっきりさせるべきなんだろう。

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