琉生君は穏やかで優しい。
一緒にいて落ち着くから、困った時や落ち込んだ時は、つい琉生君を頼ってしまう。

琉生君と別れてから、わざわざ待っててくれていた成一君の所に戻った。
同じクラスになった成一君は、背が高くて格好良い。何かと僕を気に掛けてくれてる優しい人。

「風紀委員長と知り合いだったのか?」
「うん。お家が近かったんだ」

驚いた成一君に、僕は笑い返した。

琉生君と僕、それから篤志君はお家が近かった事もあって、小さな頃はよく遊んでいた。
けれど、篤志君も琉生君も寮に入ってしまって、近頃はちっとも会えなかった。
二人の近くに行きたかった僕は、頑張って体を丈夫にして、一生懸命勉強して、やっと同じ学校に入る事を許された。

入学して久しぶりに会った二人は、前よりずっと大人っぽくて、とても格好良くなっていた。
生徒会長と風紀委員長だった二人は、たくさんの生徒達から尊敬されていて、僕はそんな二人をとても遠くに感じてしまっていたけれど、篤志君も琉生君も、以前と同じ様に僕と接してくれたんだ。

でも、篤志君は何だかちょっと変わっちゃったかな。
篤志君には篤志君の時間があるし、仕方ないって思うけど、あの人と一緒にいるのを見たら、胸が締め付けられるくらいに苦しくなった。

綺麗で格好良くて、きっと僕なんかより頭も良いんだろうな。篤志君の隣に立つのに相応しい人。
そう頭では理解していたけど、どうしても辛くて、僕は篤志君に我が儘を言ってしまっていた。
僕が会いたいと言ったら、すぐに駆け付けてくれる篤志君に安心していた。
でも篤志君の親衛隊の人に、篤志君は会長だから忙しいんだって教えられた。僕の我が儘で、篤志君を困らせていたんだ。
同じ生徒会のあの人なら、篤志君と一緒にお仕事が出来る。すごく羨ましかった。

そんなふうに考えていたら、あの人が歩いて行く姿が目に入った。
遠くから見ても格好良い。
目で追っていると、あの人は玄関に並んだロッカーの前で立ち止まった。持ち物を入れておく大きめな個人用のロッカーだ。
でもあそこは確か、篤志君のロッカーだったはず。

キョロキョロ辺りを見回したあの人は、篤志君のロッカーの鍵を開けて、中に紙袋を入れていた。
何を入れたのかな。それに、どうして篤志君の鍵の番号を知っているんだろう。
その事に、ツキンとした痛みを感じる。

「どうかしたのか?」
「成一君、少し待っててくれる?」
「けど、」
「ロッカーに忘れ物しただけだから。すぐそこだから、ゴメンね!」

あの人がいなくなった後、僕は篤志君のロッカーの鍵を開けた。
僕は、篤志君が開けているのを見て、こっそり覚えたんだ。

ドキドキしながら、あの人が入れた紙袋に手を触れる。いけない事だとわかってるんだけど、篤志君とあの人の秘密が凄く気になって。
震える手で紙袋の中を確認すると、背後から声をかけられた。

「みのり」

驚いた僕の手から、紙袋が滑り落ちてしまった。

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