イケない花たち(2)「いやーっ!」
ラブリイちゃんに次々に襲いかかる触手。そして、ついにラブリイちゃんの制服を引き裂いた!!
ラブリイちゃんのツルツルの玉肌が! ラブリイちゃんのピンク色の、ち、ちくびがあぁぁ!!
「いやいやぁ、やめてェー!」
まがまがしい触手が、ラブリイちゃんの体を這い回る。
ラブリイちゃんの……。
………………。
「……って、そんな事許すはずないだろーが!!」
目の前で繰り広げられる触手祭りを鑑賞してる場合ではない!
ラブリイちゃんを捕まえて、デロデロのドロドロにするのは、この僕の仕事なのだ!!
「食らえ、カマイタチ!」
木陰に身を潜めたまま、風を操ってカマイタチを起こす。鋭い風の刃が、ラブリイちゃんを拘束していた触手をバッサリと刻んだ。
ついでにヒロイン科のカワイ子ちゃん二人も助けておこう。ヒーロー科の奴らは知らん。メドゥシアナに喰われてしまえ。
「んぎゃあぁぁっ! ちょっとアタシの可愛い触手達に何すんのよ!?」
触手達を引き裂かれ、メドゥシアナが怒りを露にした。
ギラリとメドゥシアナの両目が光る。
何だかビーム的な何かが出てきそうで不気味だ。誰かあいつの怒りを鎮めてやってくれ。
木の影にしっかり隠れながら、こっそりメドゥシアナ達の様子を窺った。
ラブリイちゃん達は身を寄せ合って震えている。腰が抜けたのか力が入らないのか、涙目でプルプルしている姿は実に愛らしい。本当に可愛い、早くペロペロしたい。
ラブリイちゃんをガン見していると、僕の肩を誰かがたたいた。
「何だよ、僕はラブリイちゃんを……、」
いいところを邪魔しないで欲しい。
しかし、何度も叩かれて仕方なく振り返れば、目の前にはいくつもの触手が……。
「うえぇぇっ!?」
しかも、その触手達が僕の手足に絡み付いてきた。
それから勢い良く引っ張られて、気がつけば目の前にはメドゥシアナが。
「貴様! なぜ僕がいるとわかった!?」
「アンタアホね、後ろががら空きだったわよ! アタシの可愛い触手ちゃんをやったの、アンタでしょ!?」
おどろおどろしい花を背負ったメドゥシアナに、恐ろしい眼光でギロリと睨まれる。
僕は首を振った。
「ウソ仰い! 見るからに貧弱で不味そうなアンタなんか、こうしてやるわ!」
「ひよえぇぇぇ!!」
四肢を拘束されたまま、メドゥシアナの熱い吐息を吹きかけられてしまった。
熱くて気持ち悪い!!
しかもこれ、魔術が使えなくなる呪いだった!
最早、なすすべもなくなってしまった僕に、触手が襲い掛かってくる。
脇の下から背中、太ももを触手達がわさわさわさわさわさ……。
「ぎゃははははっ!! ひー、くすぐったい、死ぬ死ぬから!」
「オホホホ、いい様ねぇ」
「くそっ、ひゃあそこはダメ! うははははっ、くるしいって、ぎゃははは!!」
擽り地獄ホント死んじゃう!
「ぶぁはははは、はぁはぁ、ひゃっはははふぁふふふふっ……。……あれ?」
ピタリと擽り攻撃が収まった。
何故だ?
不思議に思いながらメドゥシアナを見れば、奴は驚いた様に僕をガン見している。
「あ、あんた、それ……!」
「な、なんだ?」
「……フフフフフ。そんなものフードの下に隠していたなんてねぇ、気が付かなかったわ。ピチピチエネルギー、たんまり頂戴するわよ!!」
「はっ、しまったあぁぁぁぁ!!」
フードがいつの間に!
くすぐったくて暴れているうちに、被っていたフードが取れてしまったんだうわぁぁぁ!!
「鬼島に怒られるじゃないか!!」
「鬼島より前に違う心配しなさいよアンタ!」
「ひゃわぁぁぁぁ!」
今まで僕を擽り倒していた触手が、急に可笑しなヤル気を見せた。
嫌な音をたてながら、ローブが切り裂かれる。何を隠そう、ローブの下は短パンのみだ! あっという間に短パン姿にされてしまった!!
ビリビリにされてただの布切れとなったローブの残骸を虚しく見送る。最後まで見届けたいのに、目が霞んでよく見えないよ……。
「貴様ぁ!! 僕の一張羅をよくも、よくもぉぉ……!」
「煩いわねぇ、お前達やっておしまい!」
「ちょっ、ひゃあぁっ!」
触手が、触手がぁぁぁ!!
「ち、ちくびだめぇぇ!」
触手が僕のちくびをこしこしくりくり擦ってくる。ぷにぷにしてて変な感触!!
おまけにへその窪みの中まですりすりしてきたぞ!
「ひゃ! あっ、あんんっ気持ち悪い!!」
触手がしつこくくりくりするから、ちくびがぷっくり腫れてきてしまったじゃないかっ。
どうしてくれるんだぁっ僕のちくび!
「んぁっ、いたいからぁッあっ、……もう、やめろよっあっ、あぁんっ」
「いいわよ、いいわよ。その調子よお前達!」
「ちくびばっかりっ、いやぁ……あっひゃぁん」
「フフフフ、ヒーロー達がアンタの恥ずかしい乳首を見てるわよ」
「ひッ、やだやだぁっ」
今だに触手に拘束されていたヒーロー二人と目が合った。
ヒーロー達はさっと顔を反らしたけど、触手が無理矢理顔をこっちに向けさせてしまう。
「みないでぇっ! いやぁん、あっちくびだめだからぁっ、んぁあっやぁんん」
「そんなに嫌なら、他の所も可愛がってあげなくちゃね」
「ひゃっ! そこダメッ、すりすりしないでぇっ!!」
短パンの上から、触手がごしごししてくる。
ちくびもコリコリされながら、そんな所もすりすりされるなんてあり得ないからぁっ!
「はひぃっ! あぁんやぁっ…ふぁあっ、あっああん」
「うふふふっ、ずいぶん可愛らしいこと」
「も、いやぁっ、んんっあっあぁん」
「そろそろ、邪魔なズボンも脱いでおしまい」
大事な僕のズボンが、ビリッと嫌な音をたてる。
僕の、大事なズボンー!!
「いやだっ、ズボンはだめぇぇ! いやぁっ!!」
「──ヒメ!!」
大事なズボンが破かれそうになったその時、赤い髪のヒイロが空から舞い降りた。
僕を拘束していた触手をヒーローアイテムの剣で断ち切る。そして、そのまま落ちそうになった僕を奴は姫抱きにしてしまった。
触手を華麗に避けて降り立つ姿は、まさにヒーロー。
だが、なぜ僕を姫抱きにする必要があるんだ!?
「貴様! よくもヒメを!!」
「あらあら、また一段と美味しそうな坊やだこと」
くそっ、なんでこいつがこんなところに来たんだ。
……てか、ヒメって誰のことだよ。
「きゃあぁぁっ、痛いじゃないのよっ!!」
急にメドゥシアナが雄叫びをあげた。
見れば、長い銀髪のヒーローが、剣を片手に口の端を上げて微笑んでいる。
「ふっ、後ろががら空きだ」
メドゥシアナが背負っていた紫色の花が真っ二つになっていた。
花は見る間に枯れ、触手たちも次々に枯れ始めている。
「ちょっと! 後ろからだなんてヒーローにあるまじき行為じゃないの! 信じられないわ、覚えてらっしゃい!!」
「ふっ、何とでも言うがいい」
銀髪は、長い髪を掻き上げ、流し目を送るようにメドゥシアナを見た。
「あふんっ。……て、格好良いだなんて思ってないんだからね!!」
そんな捨て台詞を吐いて、メドゥシアナは屋上から飛び去ってどこかに行ってしまった。
「ヒメ、遅くなってすまない」
僕を姫抱きにしたまま、ヒイロが謝った。
眉を垂れさせて悲しげな表情で僕を見ている。
「可哀そうに、メドゥシアナに呪いをかけられたのか。それなら俺が」
「ま、待て!!」
このパターン、前にもあったぞ!
前回同様、まったくいい予感がしない!!
「大丈夫だよ、ヒメ。俺が助ける」
「結構だ! て言うか僕はヒメじゃない、ヒメルだあぁぁーむぐっ……!!」
気付けばヒイロのドアップが目の前に。そして口には柔らかい感触が……。
う、うぁぁぁぁぁん!!
「むっ、んん!」
「ん、ヒメ……」
「ぁっ、ぅんふっ、……ひぁっ」
何故だ、何故ちくびを弄ってるんだ貴様ぁぁぁあ!!
「ここ、腫れてる。治そう」
「やめとけーっ! やぁあっ! ひゃぁん」
ヒイロが、今度は僕のちくびを口に、口に……。
「やだぁっ、なめちゃだめぇえっ」
「……んっ、ちゅう…」
「あっだめぇっ、すっちゃいやぁ、あぁん」
「ふっ、ヒイロ、ずいぶん手厚い看護だな」
銀髪ぅぅぅ!!
いつの間にか銀髪がそばにいて、僕の顎に手を添えながら見てた!!
「みるなぁっ、やあぁっ、ベロでコリコリするなぁ、あっあっあっあぁん」
「ヒメ、もう少しだから我慢して」
「むりぃ、いやぁっあん、ふぁっあぁ、んぁあっ」
もう、これ以上はむ、り、……。
羞恥にまみれながら、僕は意識を遠くへ飛ばした。
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[mokuji]