プロローグ


それは一輪の清廉な花だった。
赤い血と黒い闇の中で、ひときわ輝く無垢な白。
生を断つ無慈悲な行為も、流れる川のように淀みなく、清らかだった。


目の当たりにしたその姿に、動くことを忘れてただひたすらに魅入っていた。
肉を切る音も断末魔も、それを引き立てるただの音でしかない。
全ては、その姿を彩るためのものだった。

この手に欲しいと思った。
汚してはならない存在を引きずり堕としたら、どうなってしまうのか。
この目で確かめたくなった。

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