衣が肌を滑り、研かれた床の上に落ちる。晒したナギの裸体は、淡く薄明かりに照らされていた。

何の感情も表さないアレクセイの瞳が、検分するように体に注がれている間、行き場のない自身の両手をナギは強く握り締めていた。
アレクセイや騎士達のように鍛えられている訳でもなく、ソウタのように美しい訳でもない。そんな自分の体を自ら晒すのは、酷く惨めだった。

「その体でエイメイを籠絡したのか」
「いいえ。エイメイ様はその様な方ではありません」
「返事の外は必要ない。後ろを向け」

一通り確認を終えたアレクセイが命じる。
壁を向いたナギの背に、鞭の硬いグリップが押し当てられた。
ナギの背中には、前回アレクセイによって鞭打たれた痕が残っている。幾つもの赤く腫れた鞭の筋痕が残り、裂けた場所は血が固まっている。
ナギの醜い傷が放置されているのは、手ずから傷つけた場所の治療を、アレクセイが禁止しているからだ。

残った傷痕を確認するように、グリップがナギの背を滑る。背中を這うむずがゆい感覚に身を震わせた。
やがて、臀部まで辿り着いたグリップが、そのまま奥へと伝い、ナギは反射的にそれを避けてしまった。

「逃げるな」
「ッ、あぁっ!!」

二度、重く鈍い痛みがナギの背中を襲い、目前にあった長椅子に手を突いて倒れ込む。

アレクセイによって鞭を振るわれるのは、初めてではない。しかし、何度鞭を受けても慣れる事は出来ない。せめて無様に泣き叫ばないようにするのが精々だった。

「そこへ伏せて片足を降ろせ」

ナギが他の人間と体を合わせる事はないと知っていても、アレクセイの追及は続く。アレクセイの目的が、ナギを辱める事だからだろう。

ナギは唇を噛むと、体を起こして長椅子にうつ伏せになった。無意識に取る行動が緩慢になり、それを叱責するように再度鞭が飛ぶ。
骨に響くような痛みに耐え、ナギは長椅子から片足を下に降ろした。
アレクセイが握るグリップが、嫌がるナギを煽るようにゆっくりと双丘なぞり、ナギの体は小さく震え始めた。

「エイメイと交わりたいか?」
「いいえ」
「お前が他の者と交われば、その者は死ぬ。ここで……」
「くっ、あっ……!」

グリップが、硬い窄まりを容赦なく抉る。頭まで突き抜けるような鋭い痛みが走った。

「ここで交わりたければ、囚人でも宛がってやろう」
「やっああぁっ」

グリップが入り込む。細身でも、渇いた場所に入ってくる硬い棒は、ナギに強い痛みを与える。
どっと脂汗が滲み、ナギは長椅子のクッションを握り締めた。

「アリエフまでもお前の話をすると巫覡が嘆いていたぞ。卑しい身で男を誑かす、まるで婬女のようだな」
「あっ、ああぁっ!」

容赦なく、更にグリップが押し込められる。硬い棒で傷つけられ、ナギの口から絶えず悲鳴が零れた。
痛みに耐える間もなく、今度はズルリと引かれる。それから直ぐに奥へと押し込まれ、ナギは目を見開いて仰け反った。

「──っひ、あっああぁぁっ!」
「これでは物足りないか。次は生身を用意しておくぞ?」
「やっ、んあぁっ……やあぁぁっ!!」

全身に汗を流しながら首を振るナギに、アレクセイの容赦ない責めは続く。
悲鳴を上げて、涙を零すナギを見下ろすアレクセイの口元には、薄らと笑みが浮かんでいた。

白い双丘の間からは、赤い血が流れている。
アレクセイが、突き刺した棒を更に奥へ進めると、ナギは体を大きく戦慄かせた後、意識を失った。

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