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「それより、問題は噂だ。鏡見の噂は、意図的に流されてる気がする」
「そうなのか?」
「鏡見を孤立させたいのかなんなのか、周りを挑発するような内容ばかりだ。悪い噂は広まるのが早いが、それにしても早すぎるように感じる」
「俺、誰かに恨まれるようなこと……」

……うん、心当たりがありすぎた。

俺をよく思わないヤツらなんてめちゃくちゃ多いんじゃないのか?

「噂を流してるのって、やっぱり兄さんか、朔のファンだと思う?」
「まあ、その辺りが一番濃厚だろう。あいつらは質が悪い。噂を流されているだけならまだよかった」
「糺谷は、俺が噂を流されてるだけじゃないって、知ってるんだ」
「まあな。開東さんと会長の親衛隊にリンチされそうになったんだろ?」
「あれってやっぱり親衛隊だったんだ。てか、なんで糺谷が知ってるんだ?」

まさか、これも噂になってるとか?

「俺、風紀委員になったから、親衛隊の制裁に関する情報は、逐一知らされる。鏡見のことは、開東さんからも少し聞いた」
「なに、風紀委員!? まさか、お前敵か?」
「……なんでそうなるんだ?」
「だって、あの風紀委員長の部下ってことだろ」

風紀委員長には散々世話になったんだからな、俺は。
制服がビリビリなのは、親衛隊じゃくてあいつがやったんだぞ。

「あくまでも、俺は開東さんに遣われる身だ。だが、委員長もいい人だ」
「二股かけてるようなこと言うなよ。てかお前、風紀委員長に騙されてるぞ」
「まあ、そうだな。鏡見は委員長に近づくべきではないだろうな」

やたらと感慨深げに言ってるけど、もしかして、こいつって朔に言われて風紀委員になったのかな。
風紀委員長、兄貴にちょっかいかけてたし、それを探るか阻止するために糺谷を潜入させるって、朔ならやりかねない。

俺は、糺谷のもっさりした後頭部を見つめた。
時々いるんだよな。朔のためなら何でもしますってのが。
こいつもその手のヤツだったのかぁ。




ようやく俺の部屋の前に到着したかと思ったら、ご立腹な高社君がドアの前で仁王立ちしていた。

そう言えば、俺と糺谷の姿って見えてないんだよな。

「どうする?」

同じく、仁王立ちする高社君を見ている糺谷が、俺に聞いてきた。

「結界消せる?」
「ああ。いいのか? あいつ煩いぞ」
「は……ははは……、仕方ないよね」




「ちょっと、授業サボって何してたの!? しかも、糺谷君におんぶされてるし!!」

結界が消えたとたん、俺を目にした高社君が咆哮した。

「言葉では言い尽くせない困難がふりかかってたんだよ。ところで高社君、俺に用事?」
「用事がなきゃ来ちゃダメなの?」
「そんなことないよ」
「だったら、さっさと鍵を開けなよ。いつまで僕を立たせてるつもり?」
「あ、ごめん」

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