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「あんたを可愛がりたいって言う奇特なヤツらがいるんだけど」
「会長様と血縁ってだけで興奮するんだって。アホみたいに単純でしょ?」
「たくさん遊んでもらいなね」

ぐらぐらと視界が回り始める中、四人の言葉が次々に投げかけられる。

「恥ずかしくて、二度と開東様に顔向けできないようにしてもらうといいんじゃない?」

それってつまり、そういう事だよな。殴る蹴るだけじゃなくて……。
だめだ、頭までぼんやりしはじめて、さすがに不味いなって感じになってきた。

この結界が消えれば、こいつらの悪事はまわりにバレるはず。そうすれば助かる可能性が高い。
そう考えてるあいだに、ぱちんと結界が弾けた。

だけど、結界が消えたのと同時に、体の力が抜けて立っていられなくなった。
このまま倒れたら、絶対に痛いだろうって思っていたら、地面にぶつかる前に誰かの腕に支えられた。

「ずいぶんとグダグダじゃないか」

回る視界の中、目に入ってきたのはふてぶてしい金髪野郎だった。

「クロフォード様!」
「なぜクロフォード様が……!?」

四人の絶望の声が聞こえる。
俺は、朔じゃなかったなって思ったのを最後に、意識を手放した。




◇◇◇





目が覚めた。
ベッドの上に寝ていたらしい。

起き上がろうとしたけど、すぐにやめた。
体の力が抜けたような感覚がして、思うように動かない。

ゆっくり首を動かして確認してみたら、見たことがない部屋だった。
豪華だけど、朔の部屋とも、兄貴の部屋とも違う。

「気付いたか?」

足元から声がして、その声の主である風紀委員長が、俺の目の前に移動してきた。

「体を動かすのは無理だな。まだ、麻痺しているんだろう」
「……ここは」
「ここは俺の部屋。わざわざ運んで寝かせてやったんだよ。それより、喉が渇いてるんじゃないのか?」

たしかに、ものすごく喉が乾いてる。

「あの薬の影響だろう。飲みたいか?」

そう言って、風紀委員長が水が入ったペットボトルを掲げた。
これじゃ、水を飲むにもひと苦労だけど、背に腹はかえられない。

頑張って起き上がろうとしていたら、ペットボトルを手にした風紀委員長が、俺にかけられていた上掛けをひっぺがした。
そのままベッドに乗り上げて、俺の上にまたがる。

「なに、してんだ?」

見上げた先にある風紀委員長の顔は、思いっきり何かを企んでいそうだった。

ゆっくりと、ペットボトルの水を口に含んでいる。
……いやな予感がするんだけど。
ヘロヘロの俺はたいした抵抗もできないし。案の定、風紀委員長にあごをつかまれて、がっつりと唇をくっ付けられた。

「うぅぅ」

暴れているつもりだけど、体は簡単に抑えつけられる。
無理矢理流しこまれる水にむせそうになっていると、風紀委員長の舌が入ってきた。

「う、んんっ」

抗議の声もむなしく飲み込まれて、ぬるぬると舌が好き勝手に動きまわる。

ただ抑えつけていただけだった腕が、俺を抱きしめるように絡んできた。
せっかく潤っていた口の中の水分が、全部吸い取られそうな勢いで、俺の舌ごとすすられる。

「んぅ……うっ」
「……お前、うますぎる」

顔を上げた風紀委員長の目がいつもと違う。獰猛で、このまま喰われそうな気がした。

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