「名前先輩、どうしましょう」

「テツヤ君。私にどうされたいの?」

「…身の危険をひしひしと感じるので、帰りたくなってきました」

帰さねーよ。
唇の端から溢れそうなヨダレをじゅるる、と吸い込みながら小さく呟くと名前はガシッ!と黒子の華奢な手首を掴んだ。


「猫耳生えたウルトラスーパーラブリーなテツヤ君が街中をうろうろしたら、さらわれてイヤらしいコトされちゃうよ?」

「今ここに居ても、余り変わらない気がするんですけど」

「やだぁー、私が猫耳テツヤ君を襲ってアハンウフンな展開に持ち込む訳がないじゃない。でもついうっかり猫耳をペロペロしちゃって『や、やです…止めて下さい』とか『んっ…なんか変な気分になっちゃいます』なーんて感じちゃって潤んだ瞳のテツヤ君の愛息子が元気にゃん!になったら私も勿論、一戦交える覚悟だけどね」

「名前先輩、ノンブレスで鼻息荒いし発言が変態臭いし怖いです。やっぱりボク帰りますね」

「だめーっ!!」

ずっと狙っていた可愛い可愛い後輩の黒子テツヤを強引に自宅に招いた放課後。
火神に貰ったアメリカのサプリを飲んだ黒子の頭には猫耳、そしてお尻には尻尾が生えていた。
シルバーグレーの猫耳はベビーブルーの髪に似合っていて、大きな瞳に小柄な体格だと言うこともあり、破壊的な愛らしさだ。


「全く。火神君の怪しいサプリのせいで、こんな目に…」

いやもうバ火神改め火神様GJだよ!出来れば媚薬的なものの方が良かったけども!『なんだかボク…火照ってしまいます。名前先輩、助けて下さい』なんて言われたらどうすれば良いのか!あ、襲えば良いのね!チェリーなテツヤ君の色んなモノを奪うとか何それ、女冥利に尽きるんだけど!

でも猫耳テツヤ君プライスレス!これはこれで目の保養、いや股間へのクリティカルヒット、萌えたぎる!萌え盛る!萌え禿げる!『はぁ…も、ボク…出ちゃい、ます』なんて汗ばむテツヤ君が吐息交じりに囁いたら、もう私昇天しちゃいます、ハレルヤ!なんか天国の門が見えた気がします。テツヤ君可愛いかわゆいきゃわいいハァハァハァハァ。


「……名前先輩って残念な美人さんなんですね。ボク、ちょっと憧れていたんですけど」

「え、マジで?」

「はい。バスケ部でも人気ありますよ。多分皆さんの夜のオカズにされています。間違いないです」

「何それ。てかテツヤ君になら夜のオカズでもデザートにされてもオッケーだけど。むしろテツヤ君のバニラシェイクを飲みたい…やだぁ、言っちゃった」

「…止めて下さい。マジバのシェイクが飲めなくなります」

「私が飲むから大丈夫…だから、ね?」

「何が『ね?』なんですか。馬乗りにならないで下さい」

「あら、私ったら。つい暴走しちゃったぁー。ついでに手も滑るぅー」

「ちょ、制服脱がさないで下さい」

シャツのボタンを素早く外してゆく手を握って止める。


「名前先輩が積極的なのは恐怖を感じる程に解りました。でも…肝心なことを確認したいです」

「確認?ああ、大丈夫だよ、ゴムなら買ってあるから安心して」

「準備万端ですね…って、それは好都合ですが、その前に。名前先輩はボクを好きなんですか?」

「……え?」

「いやいや、え?じゃなくて。好きだからそういう行為に及びたいんじゃないんですか?」

「……」

「何を今更恥ずかしがるんですか。羞恥心のツボが迷子ですよ」

急に真っ赤に顔を染めて見られまいと俯く名前と向かい合って、黒子は更に訊ねた。


「ちゃんと言って欲しいです」

「う…ん。私、初めてテツヤ君を見た時からドキドキして。バスケ部の練習を見に行くようになってから、キュンキュンして」

「はい、それで?」

「それから…猫耳生えたテツヤ君見たら、もうムラムラしちゃって」

「…ムラムラする前に恋して下さい」

はぁ、と溜め息を吐き出してから俯いたままの名前の頭を撫でてやる。


「えと…テツヤ君に恋して、ると思う」

「ボクもですよ。名前先輩。それに実はボクもムラムラしていたりします」

「え、」

「猫耳生えていますし、やはりバックから攻めるべきですかね?」

「は、え、ちょ、」

ちゃんと好きだと言葉にした途端に羞恥心が込み上げて、今まで散々喚いていた下ネタさえも恥ずかしいが、黒子の大きな瞳に浮かぶ明らかな欲情に息を呑んでいた。
そこで黒子の携帯が鳴り出してホッとしたのも束の間。


「なんですか火神君。今ボクは猫耳プレイに集中したいので後にして下さい」

ポチ、と携帯を直ぐ様切ってニコリと名前に微笑む。


「ふふ、急に借りてきた猫みたいに大人しくなっちゃいましたね」

「だって…、って、テツヤ君、何してんの!?」

「ん…セーラー服って脱がし辛いんですね。えいっ」

「ひ…、きゃああっ!」

「ああ、やっぱり。名前先輩の恥ずかしがる顔は最高に可愛いです…みゃあ?」

小首を傾げて「みゃあ?」と呟く猫耳付き黒子君の可愛いさは国宝級で結局、ペロリと食べられちゃいました。
そしてヤることヤったら猫耳も尻尾も、いつの間にか消えていました。


()




20130223

[ prev / next ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -