「何なんスか、いったい」
「どーした黄瀬」
「オレがヤリチンだの来る者拒まずの絶倫モデルだってガセネタのせいで、散々っスよ」
告白を断れば「だったら一回で良いから抱いて」だの迫られたり、カラオケボックスで女から襲われかけて半泣きで逃げたり。
最近、酷い目てか逆セクハラに遭いまくりだ。
「黄瀬君ってイイ体してるのね、抱いて!とかマジ意味わかんねーし」
雑誌でもまだ脱いだことはないし、練習中や試合中に脱ぐことも無かった。
「…ん?なんスか、黒子っち。その写真…って!ヒーッ!」
黒子の制服のポケットからはみ出していた写真を抜き取り見てみれば、黄瀬の着替えやシャワーを浴びている隠し撮りショットで色んなものがはみ出している。
「モザイクなしっスか!」
「ツッコむのはそこですか、でも安心して下さい。黄瀬君の息子っちは、モロ出ししていませんので。あくまでもチラリズムにこだわりました」
「息子っちって…。てか、ま、まさか黒子っち…。オレのこと」
ポッ…と、頬を赤らめる黄瀬に黒子は舌打ちしていた。
「オレ…黒子っちなら抱かれても、ゲフッ!」
「気持ち悪いです死んで下さい。黄瀬君の童貞なんかノーサンキューですから」
「オレもテツなら…」
「青峰君の童貞もノーサンキューです」
「青峰っち、邪魔しないで欲しいっス。じゃあ、なんで隠し撮りなんて」
パンチをくらった脇腹を撫でながら聞いてみた。
「小遣い稼ぎです」
欲しい本が沢山あるもので。本当に黄瀬君は人気者ですね、毎回隠し撮り写真は発売と同時に売り切れですよ。サラッと答える黒子に罪悪感は全くない様子で怒る気にもならない。
「最近やけに女の子からイヤラしい目付きで見られると思ったら…。酷いっスよー、黒子っち」
くすん、と涙を切れ長の目に浮かべるも黒子にはノーダメージだ。
「黄瀬君、モデルならば何時だって撮られる覚悟が必要です。違いますか?」
「…は?いや、えと、」
「そうだぞ黄瀬、何時an・a○からヌードの依頼が来るかわかんねーぞ?」
絶対に黒子の共犯であろう青峰はそんなことを言い放つ。
「いやいや、それは普通に断るし」
「黄瀬君の馬鹿っ!」
ぺちん、と頬っぺたを黒子に叩かれて呆然とした。
え、オレ叩かれるとこじゃないっスよね?みたいな。
「プロのモデルたるもの、オールヌードも男性モデルとのハードな絡みも、グラビアアイドルとのハメ録りも決して断ってはいけません!」
「よくぞ言ったテツ!」
「あのー、オールヌードは百歩譲っても、その後のは明らかにモデルの仕事じゃあ…」
「黄瀬君の馬鹿ちんっ!」
「いだーっ!」
今度は鳩尾にグーパンを喰らって前屈みになる。
「顔は商売道具なので今度はボディにしてみました」
「…地味に痛いっス」
「オレもテツも黄瀬がモデルとして、ステップアップすんのを願ってんだよ」
「その通りです」
「いやいや、単なる小遣い稼ぎっスよね?話の発端は」
「それも否めません。さて、バレてしまったら仕方ないですね。黄瀬君、脱いで下さい」
「は?」
「ファンはお前の全てを知りたがってんだよ。ある意味ファンサービスだろうが」
「ボクが最高にセクシーな写真を撮ってあげます」
「お、涙目とか、そそるな」
「ベビーフェイスが泣き濡れる。今回のテーマは決定ですね」
身の危険を感じて声も出せない黄瀬が2人に壁際に追い込まれた瞬間、部活なのだよと緑間が迎えに来て何とかヌード撮影は逃れられたという。
an・a○の表紙を黄瀬君が飾る日が待ち遠しいですね。
20121001
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