「マジかよ…黄瀬」
「信じられません。そしてキモいです、黄瀬君」
部活後に立ち寄ったマジバで青峰と黒子は戦慄していた。
「ちょ、黒子っち、ひどっ!」
「だってまさかキセキでイケメンモデル黄瀬君が童貞だなんて」
「どうするテツ?どの雑誌にタレこむ?」
「まずはフラ○デーでしょうか」
「青峰っち、黒子っち、やめて!」
「いくら貰えんだろーな、タレコミ料って。テツは何が食いてぇ?」
「青峰君の好きなもので良いです」
「いやいや、チームメイト売って、なに食べるつもり?」
「まぁ、冗談は置いといて。黄瀬、それはマズイぞ」
「何がっスか」
「イケメンモデルでan・a○の抱かれたい男ベスト10入りした黄瀬君が童貞だという事実に決まっています」
「ちょ、抱かれたいとか、恥ずかしいから止めて欲しいっス!」
きゃー!と喚いて両頬を押さえる黄瀬は乙女か!とツッコミたい程に可憐だ。
「モデル事務所の奴らは知ってんのか?お前がまさかの童貞だって」
「てか教えることじゃねーし。プロフィールに書かないっしょ、そんな下世話なことは」
「事務所サイドもちょいセクシーな路線を狙っているかもですし、まさかチャラ金髪の黄瀬君が童貞だとは夢にも思っていないでしょう」
「セクシーって…オレまだ中坊だし」
「黄瀬、世間ではお前はヤリチンイケメンモデルだと思っている間違いない」
「ヤリチンじゃないっスよ!」
「「しーっ!!」」
思わず声を荒げた黄瀬は片手で口を塞ぐ。
周りにはモデルの黄瀬涼太だと気付いたファンや帝光らしき生徒も居た。
まさか3人が童貞トークをしているなんて思ってもいないだろう。
「いやー、黄瀬、マジヤバいわ」
「ヤバいですね」
「中3で童貞とか普通っスよ。大体2人だって、まだ」
「オレとテツは良いんだよ」
「…何で?」
「いいですか、黄瀬君。青峰君ならもし童貞だとバレても「えー、こんなワイルドなのに童貞?結構ピュアなんだぁ。私、嬉しい」なーんて良い方向に転びます」
「テツが童貞だとバレてもよ、「え、やっぱりテツ君ってば思っていた通り童貞なんだぁ。可愛いっ。私なんかが奪っていいの?じゃ、いただきまーす!」って展開になりそうだろうが」
「…すげーポディティブな発想っスね。てかオレだって意外性で、」
「いいえ、黄瀬君。もしも黄瀬君が童貞だとバレたら「え、黄瀬君が童貞!?シャララ☆なイケメンモデルなのに?ありえなーいキモっ!」とドン引きされますよ?」
「間違いない。「やだー信じられない!抱かれたい男ベスト10入りしてた癖に。しかもシャララ☆って、早いし」とかガッカリされんぞ」
「オレ早くないっスよ!捏造止めて!てかシャララ関係ねーし!」
「「しーっ!!」」
「あ、すんません」
「お前いっつも女に取り囲まれてんじゃん。確か彼女だっていたんじゃ…」
「あんま言いたくないけど…オレの外見で寄ってきたり、勝手に彼女名乗ってるんスよ。オレは本当に好きな子と付き合いたいし、えっちも好きな子じゃなきゃイヤ」
「うわー贅沢言ってんな」
「てか…えっちの時に童貞だって言わなきゃ、バレないんじゃないスか?」
「それを童貞のオレとテツに聞くな。あ、さつきに意見聞くか?」
「止めて!お願い!」
「あー、さつき?オレだけど。なんか黄瀬がまだ童貞らしくてさ。…あん?いやいやマジだから」
「ちょ、青峰っち!止めてってば」
「桃井さんの意見を聞かせて下さい」
「ほらよ、黄瀬」
携帯を耳に押しあてられると「きーちゃん、マジで?やだー、信じらんない!テツ君なら可愛いからわかるけどー」と桃井は騒いでいる。
『きーちゃん、本当なの?』
「っ、違っ…。(脳内妄想だけでは)ど、童貞じゃねーよ!!」
嗚呼、哀しい男のプライドか。女子の桃井相手では、ついそんな嘘をマジバ中に響く大声で叫んでしまう黄瀬であった。
バスケ部スタメンで皆モテるだろうけど、帝光中時代は全員DTB(童貞ボーイ)だったら個人的には嬉しい。特に黄瀬君。
20121001
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