テスト前に部室に集まり勉強するはずが、やる気のないメンバーにより微妙な物真似大会が始まっていた。
トップバッターは紫原で仰向けに寝ていて、気だるそうに誰かを見上げてから、横向きに体制を変える。
「解ったっス!屋上に迎えにきた桃っちのパンチラを見て、ヤバくなった青峰っちがそれを誤魔化す物真似!」
「ぴんぽーん。黄瀬ちん、正解」
「ぷふっ。下半身を隠そうとして横向きになってるんですね」
「ばっ…、俺はさつきのクマちゃんパンツなんかじゃ、勃たねぇよ!」
「ちょっと大ちゃん、あれはパンダちゃんだからね!」
「え、桃っち、ツッコむのそこっスか」
「てかパンダちゃんパンツとか、さっちんダサダサ〜」
「なんでよ、可愛いでしょ?」
「コアラでもタヌキでも萎えるだけだっつうの」
「青峰っちがセクシーなの買ってあげれば?」
「きーちゃんキモいし余計なお世話キモい」
「うわーん!キモいって二回言われたっス!」
セクシーバディな癖に実は乙女系かよと、微妙なギャップは非常に萌え辛い。
「じゃあ次はボクですね」
のそのそと歩き何かを落として周りを気にしながらも、そっと拾い上げてふーっと息を吹き掛ける黒子。
「解ったぞテツ。使う相手もいないのに持ち歩いてたコンドームを廊下で落として拾う黄瀬だろ」
「ぶっぶー。違います」
「オレそんなん持ち歩いてないっスよ!」
「あ、解った!最後のまいう棒を落として三秒ルールだしって、拾ってふーふーしてるムッ君でしょ!」
「ぴんぽーん。桃井さん、正解です」
「ああいう時のムッ君って最高に可愛いんだよね」
「えへへ。よく言われるー」
「よっしゃ、次は俺がやるぜ」
机に突っ伏して急に起き上がり手を上げると前屈みで、慌てて入り口へ走り何かを洗う動作を青峰はしていた。
「解りました、青峰君。授業中に夢精した黄瀬君が慌てまくって、トイレでパンツを洗ってるところですね」
「ちんぽーん。テツ、正解だ。流石はマイシャドウだぜ」
「イエス、マイライト」
コツン、と軽く拳を合わせる二人。
「ちょ、オレ授業中に出さないっスよ!パンツに」
「黄瀬君、何故発射済みパンツをボクにくれなかったんですか?高値で売れたのに」
「だから捏造止めて!発射してないから!」
「黄瀬ちん、たまってんのー?」
「忙しいから家でヌく暇ないんだろ童貞モデル様は」
「きーちゃんサイテー」
「桃っち、蔑む視線止めて!そして思春期を責めないで欲しいっス」
ぎゃあぎゃあ喚いていると緑間にいい加減真面目に勉強しろと怒られる。
「うるせぇから黄瀬もなんか物真似しろや」
「くすん…。じゃあ、とっておきをやるっス」
椅子に座り窓をチラリと見てから再び視線を窓に向けて、ニヤリと僅かに口角を上げる黄瀬。
何時もの黄瀬の落ち着きのない動きや目線ではなく瞳の色まで変わり、ゆったりと優雅な所作は風格までも感じられた。
最後に小さな溜め息を吐いて物真似は終了だ。
「…これは赤司君のコピーですね」
「すげーな黄瀬。コピーが十八番なだけあるわ」
「でも本当に微妙過ぎて何を二度見してるのか解んないよ、きーちゃん」
「赤ちんが授業中に余所見なんてするのかなー」
緑間と真面目に勉強していた赤司がそこに静かに割って入った。
「それは授業中に他のクラスの女子生徒達が通って、愛する膝裏が見放題で堪らずにわびさびを秘めた聖域の窪みをガン見して、今日も理想の膝裏は見つからなかったと溜め息を吐く僕だね。流石は涼太GJ」
「正解!今のは上級問題なんでスーパー涼太君をあげるっス。てかGJって新しいポジション?」
「「「「「やっぱメニアック!!」」」」」
恐れを知らぬ能天気な黄瀬を称えつつ、相も変わらぬメニアックな赤司君に震えるメンバーなのでした。
20130203
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