※黄瀬君がちょい変態っぽいです。下ネタばっかです。ご注意下さい。
部活が終わり教科書を取りに来ると教室には夕日が射し込んでいた。
自分の机から教科書を取り出すと少し離れた床にケースに入った縦笛が落ちているのに気付く。
手に取るとイニシャルから名前の物だと解り、迂闊にもドキドキと胸が高鳴っていた。
これを黄瀬の縦笛と入れ替えれば、間接キス出来る。
そんな変態臭い発想も恋する中学生男子にとっては、興奮材料にしかならなかった。
素早くその作業に入ろうとする前に軽く笛を舐めてみようかと思った瞬間に、聞き慣れた声が入り口から聞こえる。
「ポン太…何してるの?」
「うおっ!?いやこれは、その…てかポン太じゃねーよ!」
自分の縦笛は太ももに挟みなんだか元気な息子っちみたいだし、名前の縦笛をケースから抜き取っている構図は明らかに怪しかった。
「涼太君、それ…私の笛だけど」
「あ、えと…。名前ちゃんの笛が落ちてたから割れてないか確認してたんスよ!」
「そうなんだ、ありがとう」
無邪気に微笑まれしかも礼まで言われて罪悪感が沸き上がるが、スクバにしまわれる縦笛を名残惜し気に目で追う自分はマジでヤバいと思う。
「涼太君、これあげる」
「え、」
スッと目の前に差し出されたのは水滴の浮いたミネラルウォーターのペットボトルだ。
「部活、お疲れ様。私今日は委員会だったんだけど、ちょうど会えたからあげる」
そう言う名前の手元には少しだけ減ったペットボトルがある。
「あの…。オレ…、そっちが飲みたいっス」
恐る恐るリンゴのイラストが書かれたペットボトルを指差すと名前はきょとんとしていた。
「これもうちょっと飲んじゃったし…。ミネラルウォーターっていうか、リンゴフレーバーのお水だよ?」
「オレ、リンゴ大好きなんで!それに部活の後って甘いもん飲みたくなるんスよ」
あー、喉渇いたな。今日も部活、超頑張っちゃったし。
と必死にアピールしてみるとクスリと笑い、名前は飲みかけのペットボトルを黄瀬に渡す。
「涼太君、バスケ凄い頑張ってるもんね。はい、あげる」
「いいんスか?」
「うん」
「ありがと。…良かったら一緒に帰らないっスか?」
「さっちゃんと帰る約束してるんだ」
「じゃ、じゃあ!明日はどう?」
「うん。明日なら、いいよ」
じゃあね、と手を振る名前を見送り貰ったペットボトルを握り締める。
帰ってから大切にじっくり飲もうと縦笛と共にスクバに入れた時に、青峰と黒子がひょっこり現れていた。
「黄瀬君、名前さんの縦笛ペロペロ作戦は失敗ですか」
「黄瀬、お前本当に気持ち悪いな」
「な…、オレ、別にそんなつもりは!」
ムキになって否定するもニヤニヤしながら近付く青峰には全てお見通しだ。
「まぁ、間接キスって発想は可愛いけどな」
「正確には間接ベロですけどね」
「……。頑張って間接じゃなくて、直接キスしてみせるんで」
「あー、明日一緒に帰る約束してたもんな。チャンスじゃねぇか」
「いやいや、それは早過ぎっしょ」
「黄瀬君、男らしく決めて下さいね。ファーストキス」
「まだ告ってもないんスけど!」
ヤリチンだの絶倫だの巨根だの勝手な噂のせいで、黄瀬にはそんなイメージが染み付いているが、実際はまだ童貞だしファーストキスも未経験だったりする。
赤司から「最近、涼太のディフェンスはかなり良くなったね」と褒められるのも、肉食系な女子達に抱き着かれたりキスされたりするのから必死に逃れる動きの賜物だ。
「名前ちゃん、全然オレの事を意識してないし」
「でもよ、飲みかけのペットボトルくれたんだろ?」
「はいっス!やっぱこれって脈あり?」
「逆に友達としての意識しかないんじゃないですか?」
「……う、」
しょんぼり項垂れる黄瀬の肩を叩き、青峰は口を開く。
「名前の奴、お前の股間に挟んだ縦笛をチラ見してたぞ。頑張れ童貞モデル、そしてその想いを歌にかけろ」
「マジっスか?青峰っち…!」
「そうですよ、変態モデル君。名前さんとの距離は僅かですが縮まっているんですから」
「黒子っち…!オレ、頑張るっス!」
彼女の縦笛を舐めようとしたら見つかったっス!でも別にオレ変態じゃないよ?
思春期の男子なんてみんなこんなもの(wowwowwow)
てか名前ちゃん、オレの縦笛をチラ見してたのマジっスか?(wowwowwow)
それって
もしかして、だけど
もしかして、だけど
涼太のリアルな縦笛を大胆にもペロペロしたかったんじゃないんスか?(come on!)
そんなん想像しただけで半勃ちなんスけど!(前屈みsorry!)
明日一緒に帰る約束したけど
それって
もしかして、だけど
もしかして、だけど
帰り道に公園に立ち寄ってベンチに並んで座って良い雰囲気になったりしたら(wowwowwow)
キスされたいなんて思ってるんスか?(wowwowwow)
涼太のファーストキス捧げちゃってもオッケー?(kiss!kiss!kiss!)
涼太の唇、君だけの為に全裸待機中っス!
ボーカル:りょうた
コーラス:あおみねっち
縦笛:くろこっち
そんな無駄に熱いライブは見回りの教師に見つかり叱られるまで続いたという。
君に恋してる
涼太だよ!
20130519