《恋愛初心者》
#01_好きじゃない彼氏:03



「今日で三ヶ月記念〜」


 三学期が始まって数日経った頃、結衣子がいつになくはしゃいでいた。


「うまくいってるんだね」

「まぁね」


 放課後はデートなんだ、なんて、一日中ソワソワしている。


「ねぇ、結衣子、江坂くんのこと、今はどう思ってるの?」


 結衣子がこれだけ続いてるんだから、江坂くんの気持ちに応え始めてる、ってことだよね。


「んー、そうね、まぁ、嫌いではないね」

「…は?」


 さらっと答えた結衣子を、思わず凝視してしまった。


「え? だから、嫌いじゃないよ」

「好き、…じゃ、ないの?」


 そんなにデート前にソワソワしてるのに。


「そうねぇ。まだそこまではいかないかな」

「だって、え? 何で?」


 クリスマスもお正月も、こっちが恥ずかしくなるくらいのラブラブなメール、くれたじゃない。

 今日だって、これからデートじゃない。

 なのに――。


「何で、って、そりゃあ」


 にっ、と、口角をあげて、結衣子はあたしに耳打ちをする。


「エッチの相性バツグンなんだもん」

「エッ…、え? あの、や、えと、エッ…!?」


 あたしは今、何を聞かされたんだろう。

 変に顔が火照る。


「瑠璃にはまだ早かったか」


 いやいや、そこ笑うとこじゃないし!


「なかなかいないよー、そんな相手。手放したらもったいないじゃない」


 もっ――…。


「だーかーら。瑠璃もとりあえず誰かと付き合ってみればいいのよ。そしたら判るって」




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