《はつこい》
#02_自業自得:10



 どうせなら、三井とでも、付き合っててくれればよかったのに。

 そうしたら、今ここで、踏ん切りつけることだってできた。

 まぁ、違う高校に行った三井に連絡するなんてこと、真由子にはできなかっただろうけど。

 三井も何やってんだよ。

 卒業してそれっきり真由子を放っておいた三井に、八つ当たりめいた感情がふつふつと沸き起こった。


 古傷えぐってごめん、と、真由子が肩を落とす。

 マジ、やべぇ。

 その細っそい肩に、手を伸ばしてしまいたくなる。


「んな顔すんなって」


 もう、笑うしかねぇだろ。

 今さらのように真由子に対する気持ちが盛り上がってきて、どうにもならない。

 ここでキスのひとつでもしたら、真由子はどんな反応するんだろう。

 …そんな度胸、ねぇけど。


「だから、変わってねぇ、っつったの」

「…自分だけオトナになったみたいなこと言っちゃって」

「真由子よりはな」


 抑え切れない想いが、真由子に手を伸ばさせた。


 一瞬、ホントに一瞬だけ。

 そっと真由子の髪に触れてみる。

 そういえば、俺、散々真由子と一緒にいたけど、触ったことなかったかもしれない。


 あー。

 抱き締めてぇ…――。




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