《Love Songs》
#06_キャンディ:7



「――あぁっ! ん、っふ、」


 冷えていた身体は、とっくに熱く火照っていて。

 それでも足りずに、蕩けそうな彼女の熱を、貪欲に欲してしまう。

 奥へ、奥へと、際限なく突き上げると、トロトロになった彼女が、じわりじわりと僕を締め付ける。


「やらしい、な。腰が揺れてるよ?」

「やっ、あ、…っは、」


 余裕のあるふり、なんて、もうできっこない。


「もっ、…と、欲し…っ」


 こんなこと、言う子だったかな。

 いつの間にか、煽るのが上手になって。


「欲張りな、子は、嫌いじゃ、ない、よ」


 彼女の中を往復するスピードが、自然と加速する。


「あ! あっ、あ! っうぁんん!」

「すご…、ウネウネして、…ッは」

「んンッ! や、も、イ…っあぁぁ!」


 熱くて柔らかな感覚に、飲み込まれそうになる。


「イ、く…?」

「ん、も、…ぁあぁぁ、ダメ、ぇぇっ」

「一緒に、イこっか」


 指を絡めて。

 舌を絡めて。

 身体を絡めて。

 繋がれるところは、余さずに繋がり。

 身体中、しっとりと、朝露をまとったような彼女を抱き締めて。

 僕は、彼女の中に、溶けていく。


「ッん、…あぁぁぁっ!!」

「――ク、う、…ッ!」


 まるで、夢心地。

 これが最後、かもしれない、と。

 思っているのは、僕だけじゃない。


「泣かないで」


 まだ彼女の中に入ったまま、絹糸のような髪に指を通す。

 サラサラ。

 サラサラ。

一房摘んで持ち上げると、砂のように零れていく。



 外は寒いんだ。

 手を暖めてくれる?


 いっそ、このまま。

 僕だけの君なのに――。








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A tribute to Shinji Harada
“キャンディ”

初掲 2009.06.02.
改訂 2010.07.24.


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