『燐ちゃん、見て見てー!』
「おー。マイ、どうした…ってぎゃぁぁぁぁぁあ」
『燐ちゃんうるさい』
「これが騒がずにいられるか!」

てっきり描いた絵でも見せにきたのかと思ってマイのほうを見れば、そこにはマイの描いた絵ではなくざっくりと切れて出血しているマイの手のひらだった。

「と、とにかく手当てしねぇと!」

なんでこういうときに限ってあのメガネは出掛けてんだよ。救急箱を持ってきてマイをソファーに座らせ、マイと向かい合うように俺も近くにあった椅子に腰掛ける。改めてじっくりと傷口を見る。うわ…見てるこっちも痛くなる。

「いったいどこでこんな怪我してきたんだ?」
『外で遊んでて、転んだら血が出てた』
「痛そうだな」
『うん。痛い』

痛いと言うわりには痛くなさそうだな。取り敢えず消毒するか。消毒液を脱脂綿につけて傷口に近づける。

「ちょっと染みるぞ」
『!?燐ちゃん、痛い!!』

傷口にあたった瞬間、びくっとしてだんだん涙目になっていくマイ。やっぱり痛いよなー。俺も何回か雪男にやってもらったけど、あの痛みは未だに慣れない。

「我慢しろよー」
『う、』
「ちゃんと我慢できたら、一緒に遊んでやっからな」
『うん。我慢する』

下唇をかみしめて必死に泣くまいとするマイの姿に思わず笑ってしまいそうになった。


我してみた!


「ほら、終わったぞ」
『燐ちゃん、ありがとう!』
「ちゃんと我慢できてたから遊んでやる」
『やった!』


2013.2.12