『あれ?』

気がつけばさっきまでそばにいたはずのパパがいなくなっていた。

『パパ、どこ行ったのかな』

キョロキョロとまわりを見渡しても知らない人ばかり。買い忘れたものでも取りにいったのかなアイスを選んでいたとき、パパに何か言われたような気がしないでもないけど…まあいいか。アイスを選んだら、次はお菓子コーナーに行くのがスーパーに来たときのお決まりコースだ。おもちゃ付きのお菓子から駄菓子までたくさん揃っている棚を見上げながら今日は何を買おうかと悩む。あ、ポテトチップス美味しそう。これなら燐ちゃん、雪ちゃんも一瞬に食べれるかな?でも、チョコレートもいいな。気になった商品をいくつか手に取って比べてみる。しばらく考えた結果、今日はどら焼きにすることにした。どら焼きの袋を抱え、改めてまわりを見渡すがパパは見当たらない。仕方ない。ぶらぶらしながらパパを探すか。


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思ったよりもはやくパパを見つけた。サービスカウンターのところで。恐ろしい形相で何か言っている。店員さんは、落ち着いてくださいと言いながら顔をひきつらせている。なんてこった。パパに近づき、パパのコートをくいくいと引っ張る。

「マイ!」

パパはわたしの名前を叫ぶと、思いっきり抱きしめた。

「心配したんだそ!もう誘拐されちまったんじゃないかって、そりゃもう」
『ご、ごめんね』

な、なぜわたしが謝っているんだ。わたしは悪くないぞ。わたしを置いてどこかにふらふら行っちゃうパパが悪い…のだと思う。だけど、必死に探してくれてたんだと思うと何も言えなくなるんだよね。まぁ、おかげで毎回同じことの繰り返しなんだけどね。


してみた!


「よし、マイ。パパと手繋いでかえるか」
『うん。帰ったらお菓子たべたい!』
「おー。たくさん食べて大きくなれ」


2013.2.10