晩御飯を作っているとマイがやって来た。

『燐ちゃん、今日のよるごはんはなーに?』
「今日はカレーだぞ!」
『やった、カレー!』

大好物のカレーが今日の晩御飯だと知り、マイは嬉しそうにぴょんぴょんしている。こんな反応をしてくれるのは、今となってはマイだけだ。というか、他のやつがぴょんぴょんしている姿なんて見たくない。考えただけで寒気がする。

『もうすぐ?』
「あぁ。マイ、皿準備しててくれるか?」
『いえっさー!』

戸棚から一枚一枚慎重に皿を取り出しているのを確認しながら、鍋をかきまぜる。以前、マイが皿を落として大惨事になったことがあった。しばらくは怖くなってキッチンに近づかなかったのだが、最近になって前みたいに来るようになった。女の子だからなのか俺がキッチンにいるとよく手伝いたがる。まぁ悪い気はしないし、マイと一緒にいれるから俺としては嬉しい限りだ。制服の裾をくいくいと引かれてそちらを見れば、皿の準備が終わったらしいマイがこちらを見上げていた。目がくりくりしていて可愛いな、なんて柄でもないことを思ってしまう。

「どうした」
『はやく食べたい』
「マイは本当にカレーが好きなんだな」
『うん!燐ちゃんのカレーが1番好き!』

なんだこの可愛さは。笑顔でそんなことを言ってくるものだから、思わずマイを抱きしめてやった。


きしめてみた!


「マイだけだぞ。俺にそんなこと言ってくれるの」
『燐ちゃん、大好きー!』
「俺も大好きー!」


2013.2.9