『ねぇ、雪ちゃん』
「マイ?どうしたの?」
『燐ちゃんのお風呂、いつもより長くない?』

そういえば、と雪ちゃんがペンを置いて部屋の時計を見る。現在の時刻は午後10時。良い子な小学生は眠くなる時間だ。その証拠に、わたしは今すぐに寝れるくらい眠い。どうして寝ないのかって?それはまだお風呂に入っていないからである。わたしの記憶が正しければ、燐ちゃんがお風呂に行ったのはたしか1時間前。いつも40分くらいでお風呂から帰ってくるのに。

『燐ちゃん大丈夫かな。溺れてたりしないよね?』
「兄さんのことだから大丈夫だよ。もしかしたら居眠りしてるのかもしれないね」

授業中も寝てるくせに、と雪ちゃんがボソッと言ったことは聞かなかったことにしよう。きっとわたしの聞き違いだ。うん。それにしてもお風呂場で居眠りなんてなんて迷惑なんだ。こっちは眠いのを我慢して待っているというのに。ふわぁ、と大きなあくびをして閉じそうになる目をこすっても眠気は飛んで行ってくれない。あぁ。もうこうなったら燐ちゃんの様子を見に行こうかな。それから、いつまで待たせるんだ!って文句も言ってやろう。そう意気込んでわたしは燐ちゃんのベッドから降りてドアへと向かう。すると、どうしたのかと机に向かっていた雪ちゃんが振り返った。

『雪ちゃん。わたし、燐ちゃんの様子見てくる!』
「あ、うん。でも大丈夫?」
『へ?なにが?』

ドアを半分開けながら聞き返すと雪ちゃんはドアの隙間を指差した。

「昨日から電球が切れてるから廊下は真っ暗だよ?」

恐る恐るドアの隙間から廊下を覗けば広がる暗闇の世界。わたしは真顔でゆっくりとドアを閉めて雪ちゃんと向き合う。

『…雪ちゃん』
「なに?」
『燐ちゃんの様子を見に行くのについて来てください』


いしてみた!その2


「うん、いいよ。2人で兄さんに文句を言いに行こうか」
『行こう!行こう!』


2014.2.11

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キャラブックを読んだら書きたくなったのです