『燐ちゃん、遊んで』
「おー。ちょっと待ってろ」

お兄ちゃんのひとりである燐ちゃんにずっと頼み込んでいるけれど、さっきから同じ答えしか返ってこない。わたし知ってるんだから。どうせパパからもらった本を見てにやにやしてるんでしょ。ちらっと時計を見れば、もうすぐパパと雪ちゃんが帰ってくる時間だ。燐ちゃんに気がつかれないように、こっそり部屋を抜け出す。目指すは玄関だ。今日は外が雪で寒いからお家の中で待とう。玄関にある椅子にちょこんと座り、2人の帰りを待つ。時間が経つにつれてなんだかぽかぽかしてきた。帰ってくるまでちょっとだけ。そう思って少しだけ眠ることにした。


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目を覚ましたとき、目の前にすごく心配そうにしている雪ちゃんがいた。あ。帰ってきたのか。目をこすりながらおかえりを言う。雪ちゃんはどこかほっとした表情になった。

「ただいま、マイ。どこか体調悪いところとかない?」
『うん。ないよ』

雪ちゃんに抱っこしてとお願いしてみれば快く抱っこしてくれた。

「こんなに冷たくなって。どうして玄関にいたの?」
『パパと雪ちゃんが帰ってくるの待ってた』
「兄さんと一緒にいるんじゃなかったの?」
『燐ちゃん、遊んでくれないから諦めたの』

雪ちゃんの雰囲気が一瞬にして変わる。

「兄さんは何をやっているんだ」

ごめん、燐ちゃん。雪ちゃんの怒りのスイッチ入れてしまったかもしれない。


ってみた!



「おい、燐!マイが風邪でもひいたらどうしてくれるんだ!」
「マイの面倒もみれないなんて、兄さんって本当に兄としての自覚あるの?」
「だから!悪かったって!親父も雪男も怖いっての」
『(燐ちゃん、本気でごめん)』


2013.2.8