今日もわたしはメフィストさんのお部屋で燐ちゃんと雪ちゃんが迎えに来るのを待っていた。宿題も終わり、やることがなくなったので書類を確認しているメフィストのところに行く。そうすれば、いつものようにメフィストさんは書類から目を離すことなくわたしを片腕で抱き上げて膝の上に乗せてくれる。しばらく大人しくしていると、仕事がひと段落したしたらしくメフィストさんが話し相手になってくれた。学校の友達のこと。燐ちゃん、雪ちゃんのこと。メフィストさんはどんな話でも楽しそうに聞いてくれた。しばらくお話をした後にわたしは最近ずっと悩んでいたことをメフィストさんに聞いてみることにした。

『メフィストさん、メフィストさん』
「マイ、どうかしましたか」
『祓魔師が本当にやるべきことってなんですか?』
「…それを私に聞きますか」


藤本の娘のマイが1番分かっていると思うんですけどね、とメフィストさんは面白そうに笑う。わたしは本気で悩んでるのに!ふと、昨日の部屋での出来事が頭の中で蘇る。

『最近、』
「はい」
『燐ちゃんと雪ちゃんが喧嘩するんです』

祓魔師の本当にすべきことは何なのか。燐ちゃんと雪ちゃんの意見は違っていて、昨日もそのことで喧嘩していた。

『燐ちゃんは、人を助けるのが祓魔師だ!って言ってて、雪ちゃんは悪魔を祓うのが祓魔師だ!って言うんです。』

わたしはまだ祓魔師の詳しいことは分からないけれど、どちらも正しいと思うんです。
だって、パパはそのどちらもやっていたから。パパのことを思い出したら、パパに会いたくなって勝手に涙があふれてくる。もう会えないのは分かっているのに。メフィストさんがわたしをぎゅっと抱きしめて、ゆっくりと頭を撫でる。

「マイは、あのふたりにどうして欲しいのですか?」
『仲良く、してほしいです。ふたりが喧嘩してるところは見たくないです』

わたしはメフィストさんの服をぎゅっと握りしめて、顔を押し付ける。ねぇ、パパ。
燐ちゃんと雪ちゃんがこれ以上喧嘩しないように今回だけ、ふたりに正しい答えを教えてあげて?そうしたら、わたし我儘言わないし、勉強も頑張るよ。ちゃんといい子になるから。


いてみた!


「マイ。ひとつヒントを差し上げましょう」
「答えは、いつも必ず1つであるとは限らないのですよ」


2013.5.31