「ゆ...きちゃん」
『マイ、おはよう...ってどうしたの!?』

いつもより少し遅めの時間に起きてきたマイ。その姿はパジャマのままだ。よく見るといつものクリクリとした目は真っ赤で、ふらふらしているように見える。近くにあった椅子に座らせて、額に手を当てる。

「熱あるね。結構高い、かな?」
『頭、ガンガンする』

マイに体温計を渡して測らせる。

「他に痛いところとかない?」
『お腹が痛い気がする』

しばらくして体温計の音が鳴り響く。マイから体温計を受け取って数字をみれば38.9℃。完全に風邪をひいてしまったようだ。病院に連れていってやりたいのだが、そろそろ学校に行かなくてはならない。父さんは昨日から祓魔師の仕事に出掛けてしまっているし...どうしたものかと考えていると玄関から声がして足音が近づいてきた。

「今、帰ったぞ!」
「父さん!?任務は、」
「ん?ちゃんと終わらせてきたぞ」

終わらせた?最低でも3日はかかると言われていた任務だったのに?僕の頭の中に、次から次へといろいろな疑問が浮かぶ。父さんは苦笑しながら僕とマイに近づく。

「なんか嫌な予感がしたから帰ってきたんだが、正解だったみたいだな」

ぐったりとしているマイの頭をゆっくりと撫でる。

「雪男、マイのことは俺に任せて学校に行ってこい」
「うん」

急いで途中だった朝食を済ませて、鞄を持って玄関に向かう。靴を履いていると、マイを抱き上げた父さんが見送るために来てくれた。僕は立ち上がり、具合の悪いマイに声をかける。

「今日は、大人しく寝ているんだよ」
『うん。雪ちゃん、はやく帰って来てね』
「わかった。急いで帰ってくるから」

マイの頬をそっと撫でから、玄関のドアに手をかける。いってきますと言えば、気をつけていってこいと豪快に笑いながら父さんが送り出してくれる。父さんと小さく手を振るマイに手を振りかえし、僕は学校に向かう。改めて父さんの凄さを実感したそんな朝だった。


邪ひいてみた!


「帰りに、マイの好きなアイスを買って帰ろうかな」



2013.4.9