部屋に戻ると涙が流れた。 次々と涙が溢れ出て止まらなくなった。 何が悪いわけでもムカつくわけでも悲しいわけでもなく。 「…名前?」 「え?」 顔を上げるとそこには風介が居た。 「どうして、いるの…?」 「ドアが開いてて覗いたら、名前が泣いてたから…どうした?」 余計に涙が流れた。 気が付いたら風介に抱きついてた。 「ふぅ…すけ……」 「名前…?」 「離さないでっ…」 一緒に居たかった。 この気持ちを癒してくれるのは風介しか居ないから。 癒すのは玲名の助言でもマキのくれた媚薬でも何でもなく彼だけだ。 「ね、風介……」 「なんだ?」 「…………シて?」 「はぁ…ぁっっ……」 吐息だけ重なる。 風介と繋がると風介はいつものように動く。 それなのにいつもとは違う何かがわたしの中にあった。 「ふ、すけ…やっ…なんか…きちゃう…よっ…」 風介の耳元で言うと風介は動きを早めた。頭が痺れそう。 「あっ…ん、あぁ……っ!」 意識が遠退いた。 目が覚めると風介がわたしの隣で寝ていた。 いつもは感じないのに、今は風介の顔を見ると気恥ずかしくなった。 (そっかぁ…私、遂に…) 寝てる風介を眺めるといつもより愛しさが増した。 眠ってる風介のオデコにキスをすると風介はうーんと少し唸ると寝返りをした。 わたしは起き上がって服を着て、部屋を出た。 「マキ、起きてる?」 「名前〜?随分楽しそうな声じゃない」 「あのね、わたし――…」 fin back |