君との定義は
「フリじゃなくて本気で付き合っちゃえばよかったのに」
サッカー部の部室前で相模とわかれ、着替える為に扉に手をかけると、マックスが後ろから寄りかかってきた。
「重い」
「答えなよー」
「と言うか何でお前がもう知ってんだ!」
「んー…僕さ運動神経を買われて野球部のスケットしたことあるんだ」
「知り合いだったのか…」
マックスってほんとどれだけの部活回ったんだよ。
「風丸ってさ、1年の頃から相模のこと好きだよね」
「なっ!」
「風丸って目立つからさ、よく観察してたんだよね」
目立つって…
どうせ髪の毛とか女顔とかそんな理由なんだろうけど。
「何で好きになったの?」
「べ、別になんだっていいだろ!ほら練習行くぞ」
誤魔化すように勢いよく扉を開くと、ゴンッ!と誰か…いや紛れもなく半田にぶつかった。
「ったた……」
「あ、悪い…」
「動揺してんの?」
「マックス!」
「はいはい」
─────────
野球部の朝練は基本的にキャッチボールと遠投から始まり走り込みや、盗塁練習を行う。
朝練はマネージャーの仕事はあまりないに等しい。
「せーんぱい!」
「ん?」
可愛い後輩マネージャーが浮きだって、と言うより顔をニヤつかせながら寄ってきた。
「んふふふ、今日一緒に登校したんですね!」
「まぁ、元々家近かったみたいだしね」
「美男美女でとっても目の保養になりましたよ!!」
「はははー…風丸はひとり美男美女だもんねー」
「もう、先輩ったら」
後輩の言葉を軽くかわし、盗塁練習をする選手たちを見つめる。
運動部なだけあってやっぱ速い。
でも、去年の陸上部の練習を見たときに走っていた風丸とは比べものにならない。
んー…風丸かあ……
なんかあたしって周りからみたら随分と羨ましがられる体験しちゃってるよね。
あたしが彼女とか笑えちゃうねー。
あれ、そういえば彼女のフリっていつまですればいんだろ?
あとで聞いてみよう、と考えがまとまったとこで再び選手に視線を戻した。