疾風ハニー | ナノ
一緒に登校!


 
 
 
 
「おはよー」


風丸の家の前まで行くと、ちょうどガチャリと扉が開き風丸本人が出てきた。




「おはよ、はやいな」


「今きたばかりだよ」



なんかデートみたいな会話だけど、これから学校。



朝練の時間帯、一般の生徒なんて当然いないから誰かと登校するなんて久しぶりかもしれない。




「今日は宮坂くんいないの?」


「陸上部は朝練ないからいないぞ」


「へー」




うーん、彼カノとは一体何を話したらいいもんなのかな…?



「ごめんね。会話弾まなくてつまんないよね?」


「え?ああ大丈夫だ。俺の方こそ悪いな」


「……ねぇ、風丸ってモテるのに何で彼女つくらないの?」



そう、風丸は年上年下関係なくモテる。

彼女のフリをしているのが不思議なくらい。




「ん、一応好きなやついるし」


「ほー」





チラッと横目で見れば綺麗な髪の毛、女の子みたいに整った顔。

「ん?」


「羨ましい!!」


「な、なんだよ急に」


「風…一郎太はどうしてそんなに顔整ってるのー……もう女の子辞めたくなるよ」


「いやいやいや嬉しくない」


「むー…あ!」




ゆっくりと歩く私たちに対して、前方から何かが凄い勢いで走ってくる。





「かーぜーまーるーさあああああああああん!!!!!」


紛れもなく、その人物は宮坂了。





「おはようごっ………はい!?」



すこぶる可愛い笑顔の(風丸に対しての)宮坂くん。

風丸の隣に立つ私を見るやなんともえげつない顔に変わった。




「あ、宮坂。こいつがこの前話した…「かかかかかかか彼女ホントにいたんですかあああ!!?」……あ、ああ」



叫ぶだけ叫ぶと、宮坂くんは電柱相手にブツブツと話しかけていた。

え?えええ!?
宮坂くんってここまで電波系な子だったんだ…





「悪いな相模。まさか朝練の時間に来るとは思わなかった」


「うんうん、ハニーへの愛情が凄く強いんだねー」


「おまっ…は、ハニーって言うな!!」


「えーだって反応面白くって」



「か、からかうなよ!」


「ふふん、かわいー!」







「俺を無視していちゃつかないでくださああああああああい!!!!!」




顔を赤らめる風丸が可愛くてつい夢中になっちゃってた。


宮坂くんはキッと私を軽く睨んで、




「負けませんから!」



と叫んでもの凄い速さで走り去った。



んー…宮坂くんは風丸とどうなりたいんだろ。



ともあれ、これで宮坂くんに見せ付けることは出来たよね!