三年目の片想い。
鬼道くんが雷門に行ってしまったのは凄く寂しくて、この感情は無くすべきなんだと押し殺してきた。
高校になると鬼道くんは再び帝国学園に戻ってきてくれた。
三年間サッカーで活躍する鬼道くんをTV越しにしか見れなくて、
久しぶりに会った本当の彼はTV見る以上に¨男の人¨になっていた
背は伸びて体つきもよくなっていた。
帝国学園は外部からの受験生も凄く多くて、クラスは1学年だけで9クラスある。
私のクラスは1年6組。
誰かしら友達がいる筈と考えていた私なんだけど…
まさか1人もいないとは…
中等部で見たことはある人はちらほらいるけど…関わった事がない人たちばかりで私の人見知りが発動していた。
と思ったら、ただ1人…
鬼道くんがいた。
鬼道くんとは初等部からの知り合いで、友達、だと思いたい。
「あれ…佐久間くん?珍しいね6組に来るなんて」
「鬼道に言いたい事があってな」
4限目の授業が終わって
移動教室から教室に帰っていると6組の前に佐久間くんが立っていた。
「佐久間どうかしたのか」
なんだろうと考えていると後ろからその鬼道くんが帰ってきた。
「鬼道に言いたい事があってな」
「言いたい事?」
「ああ…鬼道お前、最近練習に集中できてない」
「それは…」
あ…そういえば、私ここにいても大丈夫なのかな?
話きいちゃってるかけど…。
「沢渡聞いてくれよ」
「ばっ…佐久間!」
鬼道くんの制止も無駄な抵抗で
佐久間は口を閉じなかった。
「鬼道のやつ恋してサッカーに集中できてないんだぜ!」
「こ、い…?」
「まさか鬼道が恋で集中できなくなるとはな……こういうのは女子の方が分かるだろうし」
佐久間くんは、軽くフリーズ仕掛けている私の肩に手を置き。
「相談相手になってやってくれ」
───────────
鬼道くんも本気らしく、いつもなら中庭で細々と1人お弁当を食べているところ、今日は鬼道くんと教室にいた。
「えっとー…」
「悪いな…こんな事初めてで困っていたんだ」
¨こんな事¨つまりは恋したのが初めてという意味だろう。
そうだよね、今までサッカーが恋人みたいな人だったし、戸惑っちゃうよね。
「隣のクラスの奴でな…」
鬼道くんはその人の事を詳しく話してくれた。
聞いた特徴を当てはめ浮かんでくる子は隣のクラスの¨白石優実ちゃん¨。
美人で肌が白くて、頭は常に学年首位なのに運動もこなせちゃう人で…
とにかく男子にも凄くモテる。
そんな学園のアイドルとじゃ
勝ち目なんてない……
私はチビで、ノロマで、要領が悪い。顔も良くないし、何ひとつ勝てない……。
彼女の事を話している鬼道くんは、そのゴーグル越しにでも恋している感情凄く伝わってくる。
「……沢渡?」
「えっ…あ、ごめん……ボーッとしてた」
どうしよう、今すぐにでも涙が出そうなくらい目が熱い。
こんな気持ちになるくらいだったら、相談に乗るべきじゃなかった。
どこまで私は馬鹿なんだろう……。
私はごめんと呟いて
教室から逃げ出した。
恋愛相談なんてのるんじゃなかった
(3年分の想いが1日で終わるなんて、何かの物語みたい…何だか恥ずかしい)
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