You are Mine



あいつが歪んでいることなんて知ってる。
俺だって歪んでいるから。

刹那、その名を持つとおり永遠を信じていないからいつだって戦い続けるんだ。

そうして戦い、傷つけ、壊すあいつに俺は想われていると安堵する。

狂い、狂わし、狂わされるこの形が俺達の愛なんだ。












「ねぇ、陽介」


情事後のまどろみのなか、甘えるようにもたれ掛かる刹那が呟いた。


「僕…あの子大嫌いなんだぁ」


あの子、が指すのは最近転校してきた菅野のこと。
見るからにバレバレな変装で周りを不快にさせる。

尚且つ、自分勝手な正義を振りかざし人を傷つけていく。
そんな菅野に俺以外の役員達が惚れ込んでしまったんだから世も末だな…。

それに菅野は今じゃ俺のセフレだ。

男同士なんて有り得ない!と正義という名の差別を主張していた癖に。

それなりに整った女顔を赤く染めて、恋人面している様は滑稽だ。

その菅野を刹那が、今までのセフレ以上に嫌っているのは知っていたが、口に出すとは思わなかった。


「珍しいな、おまえがそんなことを言うなんて」

「だって、矛盾だらけなんだもん。
人を見かけや噂で判断するなって言うくせに、僕のこと親衛隊だって詰ってくるんだよ?」


あんな奴らと一緒にするなんて、と愛らしくむくれる。
だがその目は深淵のようで、俺の背がゾクリと奮えた。

それは恐怖からじゃなく、俺だけが見れるものだということへの歓喜。


「疎ましいなら壊せばいい。
おまえの珍しい姿が見れたんだ、もう用はない」

「ふぅん…なら、そうしようかな」


楽しげに輝く顔。
俺を独占するためのことだと分かっていても、刹那にこんな顔をさせる菅野に嫉妬してしまう。


「刹那…俺のものだ……」


腕の中に閉じ込めて囁く。

永遠を信じないヤツだから、甘やかすだけじゃダメなんだ。
戦って抗って、常に俺を縛り付けさせる。

…結局は俺も永遠が信じられないから、こうやって愛情を計るんだ。










「当たり前だよ」


返された言葉に、歪で綺麗な微笑みに、愛しさて狂う。






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テーマ「人外ファンタジー」
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