04

side:誠


いたい、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!

なんで?なんでおれが殴られるんの?
おれはなにも間違ったことしてない、友達のいない生徒会と友達になってやって、常識の知らない金持ち坊ちゃんに常識を教えてやってるのに!


「誠ちゃん、誠ちゃん…っ、大丈夫?」


唇をかみ締めて俯くおれをぎゅっと抱きしめて震えてる真吾。


「ひどいよ、春次!誠はなにも悪くないのに!!」


俺の手を握り締めて、大きな瞳を涙でいっぱいにしながら春次を睨む大吾朗。

ほら、やっぱりおれは間違ってない。
今まで人の心配なんかしなかったこいつらが、こんなにもおれを大事にしてくれてる。
おれが正しいって認めてくれてる。

けど、宰とにらみ合ってた春次はおれ達を馬鹿にしたみたいに鼻で笑った!



「は、春次…なんなんだよおまえ、急に殴るなんて最低だ…っ。非常識だ!
殴ればすむと思ってんだろっ、そんで権力で押し付ければいいって!!」


暴力を奮われて、おびえてる体に鞭打ちながら春次に怒鳴ってやる。
春次も金持ちで、きっと今まで我侭が全部通ってきたんだ。だからこんなことするんだ、きっと!

それじゃダメだって教えてやらなきゃ!
この学園で唯一常識を知ってるおれが怒ってやらなきゃだめなんだ!




「最低?はっ、最低で結構。
…てか、テメェに非常識とか言われたくねぇんだよ」

「なんで?!おれは春次のために言ってるのに!
おれは、おれが…っ」



おれだけが、正しいことをしてるのに。









side:春次


自分が正しい、自分だけが正しい。
そう繰り返す転入生が腹立たしい通り越して、心底馬鹿らしい。


「おまえ、結局俺達を見下してるんだよな?優越感感じてんだよな?
常識を知らない金持ちの我侭息子って、生徒会は友達もいない可哀想な奴らって」


そう俺が言えば、青ざめた顔で違うと怒鳴る。
んなに焦ってれば肯定してるのと一緒なのにな?

馬鹿役員どももさすがにそれくらいは察したのか、呆然と転校生を見つめる。




「うそ、うそだよね?そんなことないよね、誠ちゃん」


真吾は転校生を抱きしめていた腕をゆるゆると離し、泣きそうに瞳を歪めた。
でもそれを裏切るように、ただ違うと呟く転校生。

まるで三流芝居、信じて裏切られて絶望する。
悲劇のヒーロー気取りで、俺はもう溜息しかでてこなかった。








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