05



憂鬱だなぁ、この学園に来てから嫌なことしか起こってない。
俺には幸せしか似合わないのに!




イライラしながら彷徨ってたら、いつの間にか生徒達がいっぱい出てきてた。

あ、もしかしてさっきまで誰もいなかったのは授業中だったのかな?
とりあえず、これでやっとリュウのとこまで行ける!


「えーっと…」


どうせ道案内させるなら、綺麗なヤツとかかっこいいヤツがいいよな!
可愛いやつってなよなよして女みたいだから嫌いなんだよ。

でも、中々いいの居ない。
もう適当なヤツでいいかなって諦めかける。

イライラを発散するみたいに、盛大に溜息。
そうしたらふいに、肩を軽く叩かれた。

なんだよ、ナンパか?!
声をかけたくなるのは分かるけど、鬱陶しいんだよ。


「気安くさわんじゃねぇよ!!」


振り向き様に足を振りかぶった。
きっとまともに食らって、無様に倒れる。そんな姿が簡単に想像できる。


――パシン


え…?


「な、なんで?!」


なんでもないように俺の蹴りを片手で受け止められた。
信じられなくて受け止めた人を見れば、喧嘩なんて出来そうにない純和風って感じの綺麗なヤツ。

そいつは笑顔を浮かべたまま、口を開く。


「神子輝君、ですよね?」

「そう、だけど…」

「風紀委員の者です。急用の出来た副会長に代わって、寮まで案内に参りました。」


あ、やっぱり伊織は急用だったんだ!

じゃなくて、寮までの案内?!


「ほんとに?!じゃあ俺、寮じゃなくて他に案内して欲しいトコあるんだ!連れてってくれよ!
それから、俺のことは輝って呼べよな。あと、お前の名前も教えろよっ」

「…………大蝶 和と申します。大蝶と呼んで下さい」

「なんでだよ、友達だろ!俺は和って呼びたい!」


名前で呼ばせてくれないなんて、なんてケチなんだ。
ダメって言われても俺が呼びたいんだから、絶対に変えないけどな!

頬を膨らまして睨む俺の可愛さに根負けしたのか、和は短く息を吐いた。


「…行きたい場所があるんですよね。案内しますから、仰って下さい」

「うんっ、あのな、リュウ…じゃなくて!
白柳龍之介って人のところに行きたいんだ」

「え、龍之介さん、の…」


吃驚して、目を見開いた和。
リュウのことを知ってるのかな?

まぁ、リュウはカッコイイから知ってて当然だよな!


「お知り合いなんですか…?」

「俺の恋人!」


本当はまだ違うけど、両思いだから間違いではない。


「だからさ、和。早く案内して!」











「…嘘、でしょう……?」


和が小さい声でなにか言ってたけど、大きい声で言わないってことは大した事じゃないだろ?

それよりも、ようやくリュウに会えるんだ!






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