その微笑みは誰のもの?
初めてあの人に出会ったのは、一つのチームを潰した後だった。
「あーあっ、このチームも手応えないなぁ」
気絶したヤツを蹴飛ばして、ぷぅっと膨れる。
あ、俺は神子輝。かがやくって書いてあきら。
ちなみに夜の街では姫羅って名乗ってる。
自分で言うのもアレだけど、俺強いし、結構有名だと思うよ?
族潰しをやってて、今日も一つのチームを潰した。
この辺のNo1だって聞いてたのに、てんで期待はずれ!
弱いのもいいとこだよ。
つまんないなぁって思いながら、被ってたフードを下ろす。
サラリと出てくるのは自慢の金髪。ちなみに目は青いんだ。
俺、その辺の女なんか目じゃないくらいちょー可愛いから、襲われないようにこうやってフードで顔隠してんの。
まぁ、襲われても返り討ちにしてやるけどな!
しばらくとどまって、友達の勝利の報告メール。
いっつも送ってるんだけどさぁ、俺の友達って照れ屋なヤツばっかだから中々返事がこないんだよな。
メールを見たらスゴイって褒めてくれてるのが分かるからいいんだけど!
「そろそろ行こっと!」
一斉送信して、その場から歩き出す。
あ、フード被りなおしてないや。
んー…いっかな。面倒だし。
なんとなく楽しくなって鼻歌を歌いながら歩いていると、俺の進行方向から数人やってくる。
気に食わなそうな奴等だったらぶっ飛ばそうかなぁ。
でも、月明かりに照らされた一人の顔を見たら、そんな考え消えた。
青紫っぽい白い髪をカッコよくセットして、俺とおんなじ青い目は鋭い。
なによりもその顔立ちは今まで見てきた誰よりも整ってた。
俺はきっとこの瞬間に恋に落ちたんだ。
あの時は見惚れてて、名前を聞くどころか話すら出来なかった。
だから父さんのコネを使ってすぐ調べたんだ。
通り名はリュウ。本名は白柳龍之介。白柳財閥の御曹司らしい。
顔も家柄も完璧だなんて、さすが俺のリュウだよな!
ちなみに俺たちが出会ったあの場所一体を占めてる「Butterfly」の総長もやってるんだって。
Butterflyって、なぁんか聞いたことある気がするけど…気のせいだよな。
そんな事よりもリュウ!早くお前に会いたい!
きっとリュウだって出会った瞬間に俺に恋してるんだから。
[ 10/24 ]prev next
back