02



短い期間で基はたくさんの情報を得てきてくれた。

実家はそれなりの家柄の一人息子、夜の街では姫羅(有名ではないが聞いたことはあった)と名乗っていたようだ。
幹部以上がいない時を狙ってチームを荒らし壊し、そのことを誇張して吹聴する人物。

聞くだけでやっかいそう…。


そうは言っても仕方がない。
今日はもう、編入当日なんだから。














そろそろ寮までの案内が終わった頃でしょうか?なんて考えていると、いきなり風紀室の扉が勢いよく開かれる。


「ちょっと和、聞いてよ!!」

「い、伊織君…?」


怒り心頭といった様子で入ってきたのは生徒会副会長である呉原伊織くん。
いつもは明るく温和な人。そんな彼がこんなに怒ってるなんて…。


「一体どうしたんですか?編入生の案内はもう終わったんです?」

「…理事長室に放置してきた」

「ええっ?!」


フンッと鼻を鳴らしてそっぽを向く伊織君。
本当になにがあったんだろうか。


「あいつ…、初対面の僕になんて言ったと思う?」

「なんて言ったんですか」

「『お前、そんな胡散臭い笑い方するなよな!気持ち悪いし不愉快だ!』」


声真似もしてるのか、いつもより何オクターブか高い声で再現する。

でもそんな事よりも話の内容に唖然としてしまった。


「初めて会った人に…気持ち悪い……?」


幼少の頃より礼儀を重んじて躾けられてきた俺には、いえ、一般的な常識を有している人からすれば信じられない。
事実そう感じたとしても、口には出さない。せめてオブラートに包む言うだろう。


「本当にそんなことを…」

「言った。目上の人に対する礼儀もなってないし、行き成り呼び捨て。
理事長室まで我慢した僕を褒めて欲しいね」

「それは…お疲れ様でしたね」


伊織君を労わりながら、これから神子君に関わっていかなければいけないことを思い、溜息を零さずにはいれなかった。






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