Re:陳腐な愛の言葉




泣いて、縋りついてほしかった。

お前は強いから、俺なんていらないんだと思い知らされる。

ただ、一緒の処まで堕ちてきてほしかっただけ。












愛してる、けれどもう傍にはいられない。
求めてくれる人と一緒にいようと決めたんだ。

勝手な事だって分かってる。

でも、強いから大丈夫だと。
笑って頷いたお前は変らずに、凛としなやかに強かに生きていくんだと。

馬鹿な俺は思い込んでた。







同じクラスで隣の席に転校してきた面白いヤツ。
最初はそれだけ。

明るく元気にいつも騒いでいるくせに、実は寂しがりで甘えた。
いつだって周りに人がいて、友人には不自由してない。
なのに俺が離れると瞳を潤ませるから…。

初めて知った、求められる喜びに顔が綻ぶ。


「でなっ、それから…」


楽しそうに話すコイツに相槌を打ちながら思う。
きっと愛せない、けどコイツとなら幸せでいられると。




だから、この瞬間アイツが泣いてたなんて、哀しい決意をしたなんて考えもしなかった。














血相を変えて飛び込んできたクラスメイト。
俺を見つけて、震える声で叫んだ。

頭は真っ白で、アイツを捨ててまで選んだヤツの呼び声なんて聞こえない。

ただ、走って、走って、走って。
一秒でも早く、アイツのもとへ行けるなら肺が潰れてもよかった。





俺を睨む目、絶望の嗚咽、哀しい機械音。


『強くなんかないよ、強がってただけ

好きなの、行かないで、傍にいて

ぼくをあいして』


待っていたのはそれだけ。




聞けなかった、最期の、ほんとの言葉














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