至って平凡な生徒Aこと、須々木 健太(すずき けんた)こと、俺。
苗字がちょっと珍しいかな?ってことくらいしか特筆することない、正真正銘の一般人。
悩みといえば全寮制の男子校に入ったせいで彼女が出来ないことくらいだった。

ほんの一月前までは。





     case1:平凡の場合





まずは転校生がやって来たところから。

2学年にあがり、春が過ぎた5月。
キリの悪い時期に転入してきたクラスメイト兼同室者。
明らかに人工物の汚い髪に指紋の付着した瓶底眼鏡が印象的な(というか、それにしか目が行かない)そいつに笑ってよろしくと言った俺がいけないのか。
この日から親友の位置に収まってしまった。


「健太って友達いなさそうだよな!
よしっ、今日から俺が友達になってやるよ!!」


いやいや。初っ端からなんて失礼なんだ。
普通に友達くらいいるから。

…確かに、こいつと出会って3日後には0人になったけど。
さらに4日後には立派な虐められっこだ。
計1週間で俺の平々凡々な日常を壊すって、何がしたいんだコイツは。

生徒会とは(強制的に)お近づきになり、ヒカルだかヒカリだかな転校生の金魚の糞扱い。
痣は日に日に増えるし、貞操は奪われかけるし。
ああ、実家に帰りたい。

それでもまぁ、転校生だし。この学校のこと知らないんだし。
なんとなく俺の現状を言ってみたりもしたわけだ。
したらなんて反してきたと思うよ?


「なんでそんな酷いこというんだよ!こいつらが虐めなんてするわけないだろ?!
そんなんだから、健太は友達がいないんだ!」


いやいやいやいや。
実際に虐められてますから、友達いないのはお前のせいだから。

こんなことが続いて1ヶ月。
ぷっちんと来たわけですよ。

目には目を、歯に歯を。奪われたものは奪い返せ。

平凡舐めてんなよ。













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