第六筆:消失〜別れ〜


六時間目が終わり、今は掃除の時間。

今日は俺は教室掃除なのだが、気乗りしなかったのでついサボってしまった。悪気はない。


真ちゃんに怒られるかなーなんて思いながらフラフラと校舎内をうろついていると、いつもの理科室の前に来た。


……もしかしたら落書きが足されているかもしれない。


そう思って理科室に入る。
理科室掃除のクラスメイトの視線を浴びつつ、いつもの席の前に行き……愕然とした。


あいつらが 机にいない。



ウサギ達が消されていたのだ。







「おい、高尾?」

机の前で立ち尽くす俺に声をかけたのは、ホウキを持った前野だった。

「…なあ、ここに何か描いてなかった?」

「ああ、なんかウサギがいっぱい……もしかしてお前が描いたのか?」

「まあ……そうだな」

「やめろよなー。そういうの俺達が消さなくちゃならないんだから」


その言葉でハッとした。
あの、俺と名前も顔も知らない同志のインスピレーションの結晶であるウサギ達を消したのは、周りにいるクラスメイト達なのだと。







言いようもない絶望感と虚無感、そして燻るような怒りに、俺は動くことも出来なかった。








『消失』







「……すいませーん、失礼しまーす」








[ 7/9 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -