第五筆:背景〜世界観とは何ぞや〜

私が一番最初にこのウサギを描いた時から今日で丁度1週間である。


その1週間で、ウサギはとんでもないことになっていた。

前からあったナイスバディウサギの周りにいるウサギの顔はこの前私が描いたものだ。
そして今日、六時間目。
見たら、周りのウサギにムキムキな体が付いていた。


新たに現れたマッスルウサギ達を一目見て、一言

「気持ち悪い」

そう言い放ったミヤちゃんは今、黙々とノートを取り、真面目に授業に耳を傾けている。

そんなミヤちゃんの隣で私は必死に考えていた。

“コイツらどうしよう”

と。






最早ウサギ達は机上でもなかなかの面積を占めていた。
『落書きは程よいスペースで、』という自分の信念を曲げてしまうことになるから、これ以上ウサギを追加することは出来ない。

私がウンウン唸っていると、ポツリとミヤちゃんが前を向いたまま呟いた。









「背景」










…その手があったか。










きっとこれが目から鱗が落ちる感じなんだろうなー、とマッスルウサギ達の周りに南国っぽい背景を描いていく。ヤシの木ヤシの木。

しかしミヤちゃんは、私が描き進めていくその背景を見て

「何でちょっとトロピカルなの……」

と、少し釈然としない様子だった。








すでに教科書は5ページも進んでいた。







『背景』









「……あ、理科室に下敷き置いてきた」

「戻る?」

「ううん、もう掃除始まってるし…ミヤちゃん先に行っててよ」

「…分かった」

「じゃ、理科室行ってきます!」

「うん」

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