雪と発見
「やー、すごい雪っスね」
黄瀬君につられて外を見る。
部室の外は雪に埋まり、白一色である。
確か『何年かに一度の大寒波』とテレビは言っていた。
(帰り道、凍ってないといいんですが……)
学校側にねだって置いてもらったストーブに手を翳しながらそんなことを思う。
いくら体を動かすとは言え、体育館は寒い。
指先や足先は簡単に冷えてしまう。
「おい、校庭に何かいねえ?」
何気なく外を見ていた青峰君がそんなことを呟いた。『何か』とは何なのか。
この大雪の中、校庭に誰かがいるとは思えない。
きっと迷い込んだ犬か何かだろう、と青峰君が見つめる方に目を凝らす。
雪が次から次へと積もっていく中、白に水色、黒い何かがヒラヒラしているのが見えた。
そう、まるでウチの制服のような色合いが……――
「……あれ名ちんじゃね?」
後ろで駄菓子をサクサクしていた紫原君がそう言ったのと、赤司君と緑間君が校庭に勢い良く飛び出して行くのはほぼ同時だった。
「奇遇ですね紫原君、僕もそう思いました」
「だよねー。こんな天気で外うろつくとか普通の人なら有り得ないし」
「分かります」
「……二人とも何気に名字サンの扱い酷くないっスか?」
雪がすごい記念
続くかもしれません
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