君を

1年前、俺は名字と同じクラスだった。


話すようになったきっかけは本当に些細なもので、




"あれ?それ……"

"何だ"

"『ゆるアザラシ』だよね?私そのシリーズ好きなんだ。緑間君もそれ好きなの?"

"いや、今日のラッキーアイテムだ"

"ラッキー……アイテム?…待って、緑間君何座?"

"?かに座だが…?"

"分かった!!『おは朝』だ!!!"

"!!!"


……これが俺と名字の最初の会話だった。

俺は、まさかおは朝のラッキーアイテムを覚えている人間が他にいるとは思っていなかったし、
名字もまた、おは朝の難易度の高いラッキーアイテムを持ち歩いている人間がいるとは思っていなかったそうだ。


変な仲間意識が生まれてからは速かった。
それからは毎日のようにおは朝の内容について話し、
それからたまにお互いの部活について話したりした。
名字もバスケをしていることもあり、話題が尽きることはなかった。

それに名字は目立ちはしないが、充分明るくて、面白い奴だ。
女子と話すことに余り慣れていない俺だったけれど、何故か名字との会話は平気だった。
柄にもなく「この関係をずっと続けたい」なんて思ったりもした。











ある日の朝 名字が突然、

「私、部活やめたから」

まるで何事でもないようにそう言ってきた。


「……な、」

「緑間君。バスケ頑張ってね」

そしていつもの気の抜けたような表情で"私に言われるまでもないよね"なんて笑っていた。

「どうして」と問い詰めようとしたが、その心なしか赤く腫れた目が「何も聞かないで」と言っている気がして

結局俺は何も言えなかった。




それからも別に俺と名字の関係は変わらなかった。
しかし明らかに名字はバスケの話を避けている。


それがやはり気になって、俺は名字が部活をやめた理由を自分なりに調べた。

そしてついに女子バスケのキャプテンから知らされた。


"名前ちゃん?…ああ、誰にも言わないでね?……あの子、

足の筋肉、酷く痛めたの"


"治療すれば大丈夫らしいんだけど、「バスケ出来ないのに部にいるのは申し訳ないから」って……"












ふと隣の席に座る名字を見る。
名字がその視線に気づいてこちらを向いた。

「ん?なーに、緑間君」

そう言って、彼女は以前と変わらない笑みを浮かべる。


どうしてそんな風に笑えるのか、
今、何を考えているのか、




俺には、まだ分からない


けれど、いつか










君を




理解したいって
支えたいって
守りたいって


そう思った。


















「……緑間っちぃいい…!!!!」

「…………な、何なのだよ」

「……俺、緑間っちのこと応援するっス……ぐすっ」

「………ふん」

「……でも緑間君」

「うわっ!!!黒子っち!?」

「いつの間に……まさか今のを、」

「バッチリ聞いてました。……それより、緑間君」

「…何だ」

「そこまで純粋に名字さんを思っているのにどうしてあんな態度しか取らないんですか?」

「!!」

「確かに」

「…………………変に意識して、………逆にああなるのだよ」

「「………」」

「………何だ、その目は」

「…緑間っちいいいいいい!!!!!」

「…僕も緑間君応援しますいえ寧ろさせて下さい」














………………
黄瀬にせがまれて恋バナ中っていう設定…だったんですよ?……はい。
ちょっ…石だけは勘弁して下さい。ごめんなさい。



緑間のキャラ崩壊甚だしい……

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